不動産売却とは、不動産会社を仲介業者として利用し、買主に不動産を売ることです。
また、不動産売却に関するよくある質問である
「不動産売却にかかる手数料や税金は?」
「一括査定サイトの注意点はある?」
「不動産はどれくらいの期間で売却できる?」
「不動産売却はどこがいい?」
といった内容にも丁寧に回答しております。
まず、初めに不動産を売却するまでの流れについて把握しましょう。
なお、不動産の売却までにかかる期間の平均は4か月程度で、売却を開始してから実際に売れるまでには1~3か月程度の時間を要します。
また、不動産売却によって大きな収入を得ることができる一方で、各手続きに費用が発生することも忘れてはいけません。
それぞれのおおよその金額や支払いのタイミングを抑えることで、売却計画も立てやすくなります。
また、以下のような税金が発生することも、不動産売却の特徴です。
税金 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
印紙税 | 契約書締結にかかる税金 | 2万円〜10万円 |
譲渡所得税 | 不動産売却益にかかる税金 | 譲渡所得税=(譲渡所得−特別控除)×譲渡所得税率(約20%〜約39%) |
登録免許税 | 不動産登記にかかる税金 | 固定資産税評価額×税率(0.4%~2.0%) |
譲渡所得の種類 | 所得税率 | 住民税率 | 譲渡所得税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡(所有期間が5年以下) | 30.63% | 9.0% | 39.63% |
長期譲渡(所有期間が5年を超える) | 15.513% | 5.0% | 20.315% |
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
税金については計算方法が特殊で理解しにくい点でもあるため、それぞれ解説していきます。
すでに不動産の売却を検討されている方は、トラブルを避けるためにも、この記事の内容を参考にして売却手続きを進めてみてください。
そのような万が一の場合に備えるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
なお、不動産を売却するタイミングについては宅地建物取引士・一級建築施工管理技士の資格を持つ方が解説している動画を参考にしてみてください。
※【不動産売却】家を売るベストなタイミング!4つのポイントで分かりやすく解説。
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査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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上記の中からあなたのニーズに合う不動産一括査定サイトを選んでチェックしてみましょう。
不動産一括査定サイトの評判を確認したい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。
不動産売却の流れと事例
不動産売却は、以下のような流れで進んでいきます。
それぞれの項目について、具体的な事例も交えながら解説していきます。
不動産の査定
まず、不動産売却で初めに行うことが、家の査定や不動産の査定です。
自分の不動産がいくらくらいで売却できるのか、おおよその金額を知ることができます。
査定は、主に直接不動産会社を訪問して行う方法と、インターネット上で不動産一括査定を申し込む方法の二種類があります。
後の項目で改めて解説しますが、便利で効率の良い一括査定を選択することをおすすめします。複数の不動産会社を比較検討した上で、最適な1社を選択しましょう。
ここでは仮に、3,000万円の査定額が出たことを想定して話を進めていきます。
不動産屋と媒介契約の締結
複数の不動産会社を比較検討した上で、売却業務を委託する1社が決定したら、その不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には、以下3つの種類があります。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
何社に依頼できる? | 1社のみ | 1社のみ | 複数社可能 |
自分で買主は探せる? | × | ◯ | |
契約期間は? | 3ヶ月以内(宅地建物取引業法による) | 標準媒介契約約款では3ヶ月以内 | |
レインズへの登録は? | 契約締結日の翌日から5日以内 | 契約締結日の翌日から7日以内 | 期限の定めは無し |
業務状況の報告頻度は? | 1週間に1回以上
メールか文書にて | 2週間に1回以上
メールか文書にて | 報告の義務は無し |
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。会員となっている不動産会社のみが利用できるシステムで、一般消費者は閲覧することができません。このコンピューターネットワークシステムにより、売りたい方、貸したい方の依頼に基づいて不動産情報を登録し、不動産業界全体が連携して買いたい方や借りたい方をお探しします。 また、買いたい方や借りたい方には登録された最新の豊富な情報の中から最適なお住まいや不動産をご紹介します。
参照:国土交通省指定 公益財団法人 東日本不動産流通機構「レインズとは?」
それでは、それぞれの媒介契約について解説していきます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、3種類の中でも売主や不動産会社に対して最も制約が大きい媒介契約です。
不動産会社は業務状況を密に報告する義務がある上に、ライバルがいないため、買主さえ見つかればほぼ確実に仲介手数料を受け取ることができます。
つまり、より積極的に売却活動に尽くしてもらえる傾向があるのです。
また、需要の高い物件は比較的買主が見つかりやすいですが、立地が悪かったり築年数が古い物件は売却に苦労することも少なくありません。
そのような不動産を売却するためには、それなりに時間と労力をかける必要があり、不動産会社による精力的な販売活動が必要不可欠です。
- できるだけ手間をかけたくない人
- 売却しづらい物件を早く売却したい人
専任媒介契約
専任媒介契約は、専属専任媒介契約と比較して制限は緩くなります。
しかし、レインズへの登録や業務報告は義務化されているため、こちらも不動産会社による積極的な販売活動が期待できます。
専属専任媒介契約との大きな違いは、売主自身で買手を見つけることができる点です。
不動産会社と売主自身の双方で買主を探すため、売却期間の短縮に繋がる可能性が高くなります。
専任媒介契約は、3種類の中で一番バランスの取れた媒介契約と言えるでしょう。
- なるべく早く売却したい
- 自分でも買主を探したい
- 窓口を不動産会社1社に集約したい
一般媒介契約
一般媒介契約は、3種類の中で一番自由度の高い媒介契約です。
売主は複数の不動産会社と契約を結ぶことが許されている上、不動産会社は業務状況を報告する義務がありません。
需要のある不動産を販売する際は各社力を入れて営業しますが、反対に売却しづらい不動産である場合は、販売活動が消極的になる傾向があります。
売却しづらい不動産の場合、不動産会社はより多くの広告費をかけたり人員を割く必要があります。
しかし、他にもライバル会社がいるため、時間や労力を割いたからと言って自社の仲介で成約できる保証はありません。
つまり、広告費や人件費でマイナスになるリスクを避けることを優先しているのです。
- 需要のある不動産を売却する人
- 多くの選択肢から買主を選びたい人
- 複数の不動産会社とのやりとりが苦でない人
不動産売却の開始
媒介契約の締結が完了したら、いよいよ不動産売却活動の開始です。
不動産会社は、店舗やインターネット上に物件情報を記載して購入希望の方を募ります。
専属専任媒介契約あるいは専任媒介契約を締結していれば、この段階でレインズにも不動産情報が掲載されているでしょう。
ここで売主ができることは、内覧に備えて室内を綺麗な状態にしておくことです。
たとえ、立地が悪かったり築年数が古い物件であっても、室内が綺麗で清潔感のある物件であれば、相手に与える印象は間違いなく良くなります。
繰り返しにはなりますが、ハウスクリーニングを業者へ委託する場合の費用は、以下の通りです。
広さ | 一戸建ての場合 | マンションの場合 |
---|---|---|
1R / 1K | – | 20,000円〜40,000円 |
1LDK〜2LDK | 50,000円〜95,000円 | 35,000円〜70,000円 |
3LDK〜4LDK | 80,000円〜135,000円 | 70,000円〜120,000円 |
5LDK以上 | 120,000円〜 | 100,000円〜 |
買主の内覧
売り出している不動産に興味のある方が見つかれば、スケジュール調整をして内覧にご案内します。賃貸物件を借りる際に行う内覧と同じであるため、イメージがつきやすい方も多いのではないでしょうか。
ここで大事なポイントは、売主も同席して営業活動に加わることです。当然、不動産会社の営業マンもプロであるため、購入希望者に対して魅力的な説明をしてくれます。
しかし、実際に住んでいたからこそわかる、売主にしか伝えられない魅力も間違いなくあるでしょう。
近所付き合いの話や近くにあるおすすめなカフェの紹介など、些細なことでも構いません。
購入希望者は広告や物件資料だけではわからない、居住者の生の声を欲しているのです。
不動産売買の契約締結
無事に内覧を終えて購入意思を取得できたら、売買契約の締結に移ります。
売買契約書は不動産会社が作成してくださるので、完成した契約書の内容をよく確認しましょう。
売買契約書に記載される項目はとても多いですが、以下の点には特に注意が必要です。
売却物件の基本情報
売買取引の対象となる不動産を明確化します。
土地や建物の所在地や地番を記載しますが、全て登記簿謄本の情報に基づいた内容である必要があります。
それぞれ誤りがないか確認しましょう。
売買代金・手付金・支払い期日
売買代金や手付金の金額及びそれぞれの支払い期日を確認しましょう。
今回の事例においては、売買代金は3,000万円になります。
手付金は、買主から売主に対して支払われる売買代金の一部です。
売主が不動産会社である場合、上限値は売買代金の20%までと定められていますが、個人の場合は上限値がありません。
一般的に、売買代金の5%〜10%の間で定められることが多いため、今回は売買代金の5%である150万円を手付金とします。
所有権の移転と引き渡し日
所有権の移転と不動産の引き渡しは、原則同日に行われます。
売主自身だけでなく、買主にとっても無理のないスケジュールであるのか、この時点で確認しておきましょう。
付帯設備について
付帯設備とは、土地や建物に付属している機器のことを指します。
例えば、室内に設置されている給湯器や換気扇、外にある庭木がそれに該当します。
細かい内容ではありますが、修理や撤去をめぐって後々トラブルに発展しやすい点でもあるので、注意が必要です。
負担の消除
負担の消除とは、難しい言葉ではありますが、「所有権の移転を妨げる権利がある場合は、売主側で事前に抹消する必要がある」という内容です。
例えば、すでにご説明した抵当権がこれにあたります。
抵当権が設定されている不動産は売却できないため、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があるという内容でした。
所有権の移転を妨げる権利が設定されているか否かは、登記簿謄本を参照することで把握できます。
公租公課の精算
公租公課とは、一言で説明すると税金のことです。
引き渡し日によって、売主が負担すべき部分と、買主が負担すべき部分に分かれます。
どちらがどの税金をいくら負担する必要があるのか、この時点で明確にしておきましょう。
手付解除
手付金を放棄することで、売買契約を解除できるか否かに関する情報が記載されています。
手付金放棄による契約解除の可否はもちろんのこと、解除の期日や条件も併せて確認を行いましょう。
引き渡し前における物件の滅失について
万が一、引き渡し前に何らかの理由で不動産が滅失してしまった場合の対応方法が明記されています。
売主が修繕をして引き渡すことにあるのか、あるいは売買契約の解除が認めれるのか、などと言った内容を取り決めます。
契約違反による解除
売主・買主どちらかが契約違反を犯す可能性はゼロではありません。
そもそもどのようなことが契約違反に該当するのか、違反した場合の罰則は何であるのかを事前に確認しておきましょう。
反社会性力の解除
反社会勢力とは、暴力団関係者のことを指します。
売主・買主ともに暴力団とは無縁であること、引き渡し予定の不動産が暴力団に関わる用途で使用されないことを謳っています。
ローン特約
不動産を購入する際に、住宅ローンを利用する方は多くいらっしゃいます。
ローン特約とは、万が一住宅ローンの審査が通らなかった場合、売買契約を解除できるという内容です。
買主が申請している住宅ローンについては、以下の内容を確認しておきましょう。
- 借入を行う金融機関名
- 借入金額
- 審査結果がわかる日
- 住宅ローン審査に落ちた場合の対策
- ローン特約が適用される期日
- ローン特約を実行する際の意思表示方法
契約不適合責任
不動産の引き渡し後、最もトラブルの要因になる可能性が高いのが、この契約不適合責任です。
契約不適合責任とは、契約書に記載されている不動産の状態と、実際の不動産の状態に乖離があることを指します。
例えば、事前に説明を受けていないシロアリの被害が見つかったり、配管からの水漏れが発覚する、といった内容です。
このような事象が発生した場合、原則必要となる対応方法が記載されています。
また、ここで以下の費用を支払う必要があることに注意しましょう。
項目 | 金額※1 | 支払い方法 |
---|---|---|
仲介手数料 | 96万円+消費税
(3,000万円×3%+6万円)+消費税 | 現金・振込・小切手など |
印紙税 | 1万円 ※2 | 売買契約書に貼付 |
※1…売買代金を3,000万円と仮定した場合
※2…軽減税率適用時
不動産の引渡・決済
買主の住宅ローンの審査が無事に通過し、手付金を差し引いた残りの売買代金を受領します。
そして、司法書士による所有権移転手続きを行って、不動産の引き渡しをすれば、晴れて売却が完了となります。
この時点で、売主が支払うべき費用は以下の通りです。
項目 | 金額※1 | 支払い方法 |
---|---|---|
仲介手数料※2 | 96万円+消費税
(3,000万円×3%+6万円)+消費税 | 現金・振込・小切手など |
抵当権抹消費用 | 2万円 | 現金・振込・小切手など |
※1…売買代金を3,000万円と仮定した場合
※2…売買契約締結時に全額支払いが完了していれば、この時点で支払う必要はありません。
確定申告
不動産売却によって売却益を得た場合、譲渡所得税の支払いのために確定申告を行う必要があります。
ここで、譲渡所得税の計算方法をおさらいしておきましょう。
譲渡所得税=(譲渡所得−特別控除)×譲渡所得税率
自分一人での申告が不安な方は、必ず税理士などの専門家に相談をしましょう。
「確定申告をどのようにしたらいいかわからない…」
「固定資産税などの税金についてよくわからない…」
など、税金について悩んでいる方は税理士に相談するのがおすすめです。ただし、自分に合った税理士を探すのは大変に感じている方も多いでしょう。
「税理士紹介エージェント」を使えば、専任エージェントが何度でも完全無料で希望にあう税理士を紹介してくれます。
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不動産売却にかかる費用
不動産を売却する際には、主に以下のような費用が発生します。
項目 | 金額 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却価格の3%+6万円)+消費税(10%)※ | 売買契約締結時あるいは決済時 |
司法書士への手数料 | 5万円〜10万円 | 移転登記時 |
抵当権抹消費用 | 移転登記時 | |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円〜30,000万円 | 住宅ローン返済時 |
その他費用 | 各項目による | 各項目による |
※…売却価格が400万円以上の場合
それぞれの費用は、不動産の売却価格や住宅ローンの利用状況によって金額は異なります。
各項目での計算方法や具体例を出して解説していきますので、それぞれしっかり確認しましょう。
不動産会社への仲介手数料
不動産を売却する際、多くの方が不動産会社へ売買取引における仲介を依頼するのではないでしょうか。
不動産に関する知識が乏しい場合でも、不動産会社が売買条件の調整や契約手続きを執り行ってくれるため、安心して売却することができます。
不動産の売買取引を個人間で行うこともありますが、何かトラブルが発生した際に、損害賠償を請求されることになったり、裁判沙汰になる可能性も否定できません。
そういったトラブルを回避するためにも、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。
また、不動産会社の仲介によって売買契約が成立した場合、不動産会社に対して仲介手数料を支払うことになります。
仲介手数料は法律によって上限額が定められており、売却価格に応じて仲介手数料の計算方法も異なります。
売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円未満 | (売却価格の5%)+消費税(10%) |
200万円以上400万円未満 | (売却価格の4%+2万円)+消費税(10%) |
400万円以上 | (売却価格の3%+6万円)+消費税(10%) |
仲介手数料算出の具体例
具体例として、売却価格5,000万円の不動産を売却した場合の仲介手数料を計算してみましょう。
仲介手数料=(売却価格5,000万円×3%+6万円)+消費税10%=156万円
また、各売却価格における仲介手数料の早見表です。
売却価格※ | 仲介手数料の上限額※ |
---|---|
300万円 | 14万円 |
1,000万円 | 36万円 |
2,000万円 | 66万円 |
3,000万円 | 96万円 |
4,000万円 | 126万円 |
5,000万円 | 156万円 |
6,000万円 | 186万円 |
7,000万円 | 216万円 |
8,000万円 | 246万円 |
9,000万円 | 276万円 |
1億円 | 306万円 |
早見表における仲介手数料は、消費税が含まれていない金額です。
実際は、上記の仲介手数料額に消費税が加算される点に注意してください。
仲介手数料について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご確認ください。
司法書士への手数料
司法書士は、不動産購入時や会社設立時における登記業務や、法務局や検察庁へ提出する書類作成業務などを担っています。
不動産売却時において、まさにこの登記業務を行う必要があるため、司法書士の協力が不可欠です。
不動産売却における司法書士への手数料の相場は、5 万円〜10万円程度と言われています。
参考:司法書士法人 不動産名義変更手続きセンター「【費用相場】司法書士の手数料はどれくらい?」
ただし、依頼する司法書士や業務内容によって金額は前後するため、仲介を依頼する不動産会社を通して事前に確認することをおすすめします。
また、不動産の引き渡し及び決済が完了するタイミングで、司法書士へ手数料を支払うことが一般的です。
抵当権抹消費用
抵当権抹消費用とは、住宅ローンを完済した時に不動産に設定されている抵当権を抹消するためにかかる費用です。
住宅ローンを利用する際に、金融機関は対象の不動産に抵当権を設定します。万が一住宅ローンの返済が滞ってしまった場合、この抵当権を行使することで不動産を競売にかけて、売却益を住宅ローンの回収に充てることができるのです。
参照:国民生活センター「質権と抵当権」
原則、抵当権が設定されている不動産を売却することはできません。
そのため、売却を試みている不動産において住宅ローンを利用していた場合、完済時に抵当権抹消の手続きが必要となります。
抵当権抹消にかかる費用は、以下の通りです。
項目 | 金額 |
---|---|
登録免許税 | 2,000円 (不動産の個数×1,000円) |
司法書士への手数料 | 15,000円〜20,000円※ |
その他 | 2,000円〜3,000円 (登記簿謄本の確認や書類の郵送費など) |
合計 | 25,000円程度 |
※前項における「不動産売却における司法書士への手数料の相場は、5 万円〜10万円程度」の費用の一部に該当します。
不動産の個数や司法書士への依頼有無によって金額は前後しますが、おおよそ25,000円前後が相場になります。
なお、抵当権抹消は自分で行うこともできます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
住宅ローン返済手数料
前の項目でも述べた通り、現在住宅ローンを利用している場合は不動産の売却前に完済しなければなりません。
不動産売却をするために、当初予定していた住宅ローンの返済スケジュールを前倒して支払わなければならなくなった方もいるかもしれません。
その場合、一括の繰上げ弁済を行うことになります。
住宅ローン返済手数料とは、つまり、この繰上げ弁済にかかる手続き費用を指すのです。
本手数料は、借り入れを行った金融機関や、窓口・電話・ネット経由といった手続き方法によって異なります。
以下、主な金融機関ごとの全額繰上返済手数料の一覧です。
金融機関 | インターネット | 電話 | 窓口 |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 16,500円 | 22,000円※テレビ窓口 | 33,000円 |
三井住友銀行 | 5,500円 | 11,000円※テレビ窓口 | 22,000円 |
住信SBIネット銀行 | 変動金利期間中:0円
固定金利期間中:33,000円 | 変動金利期間中:0円
固定金利期間中:33,000円 | – |
三井住友銀行「全額繰上返済」
住信SBIネット銀行「全額繰上返済手数料」
また、繰上返済手数料は、一部のみ返済する場合と全額を返済する場合とで手数料が異なります。
各金融機関のホームページで確認する際は、誤った金額を参照しないよう注意しましょう。
その他かかる可能性がある費用
不動産売却において、これまで解説した費用以外にも、時と場合によって以下3つの費用がかかる可能性があります。
- ハウスクリーニング費用
- 解体費用
- 測量費用
それぞれの費用について、解説していきます。
ハウスクリーニング費用
不動産売却において、ハウスクリーニングは必須ではありません。
しかし、少しでも高い金額で売却したい場合は積極的に行うべきです。
例えどんなに築浅であっても、嫌な臭いや汚れが目立つなど、手入れが行き届いていない不動産は魅力的には見えません。
反対に、築年数がそれなりに経過していても、清掃が徹底されていて見た目が綺麗であれば、周囲からの印象は良くなります。
従って、ハウスクリーニングを行うことで買主が見つかりやすくなる上、売却価格にも大きな影響を及ぼすことになるのです。
ハウスクリーニングは自分自身でもできますが、取れる汚れには限界があります。
プロの業者に委託したほうが、より高い効果が期待できるでしょう。
委託した際の相場は、以下の通りです。
広さ | 一戸建ての場合 | マンションの場合 |
---|---|---|
1R / 1K | – | 20,000円〜40,000円 |
1LDK〜2LDK | 50,000円〜95,000円 | 35,000円〜70,000円 |
3LDK〜4LDK | 80,000円〜135,000円 | 70,000円〜120,000円 |
5LDK以上 | 120,000円〜 | 100,000円〜 |
ハウスクリーニング費用は、部屋の大きさや室内の状況によって前後しますが、おおよそ2万円〜10万円程度が相場となります。
解体費用
不動産を売却する場合、一般的には一戸建てと土地をセットで売却することが多くなります。
しかし、時には一戸建てを解体して更地にしてしまった方が、高い金額で売却できることがあります。
例えば、築年数がかなり古いものや、長期間にわたって空き家となっていて管理が行き届いていない、あるいは買主が新しく建物を建築することを希望している場合は、解体してしまったほうが良い可能性があります。
解体費用は、建物の大きさや構造によって異なります。
建物構造 | 坪単価 | 解体費用の事例 |
---|---|---|
木造 | 3〜5万円/坪 | 40坪:120〜200万円 |
鉄骨造 | 4〜6万円/坪 | 40坪:160〜240万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート(RC造) | 4〜7万円/坪 | 40坪:160〜280万円 |
ここで1点、ぜひ知っておきたいことがあります。
それは、更地で所有しているよりも、住宅をそのまま残しておいた方が固定資産税が相当安くなることです。
これは、住宅用地の特例措置というものが適用されるためです。
区分 | 固定資産税 |
住戸1戸につき200㎡までの部分 | 固定資産税評価額×1/6 |
住戸1戸につき200㎡を超える部分 | 固定資産税評価額×1/3 |
具体例として、一戸建て住宅の敷地が400㎡、固定資産税評価額が4800万円(単価12万円/㎡)の場合の土地の課税標準額を算出してみましょう。
200㎡までの部分=単価12万円×200㎡×1/6=400万円
200㎡を超える部分=単価12万円×200㎡×1/3=800万円
土地の課税標準額=400万円+800万円=1200万円
一戸建て住宅の敷地が400㎡である場合は、土地の課税標準額は1200万円まで引き下がります。
最初から更地にした方が、買手にとっては土地購入後の自由度が高くなります。
しかし、固定資産税が安くなることを考慮すると、売却するまでは住居をそのまま残しておいた方が良いでしょう。
測量費用
最後は、測量費用です。
実は、隣地との境界線が明確になっていないことが少なくありません。
不動産売却をしようと思っても、どこまでが自分の土地なのかがわからない状態は致命的です。
そこで、専門家である測量士に依頼して、土地の面積や隣地との境界線を調査してもらうのです。
隣地との境界が定まると、下の写真のような境界石(境界標・境界杭など)が設置されます。
測量費用は、一般的に40〜50万円程度が相場と言われています。
しかし、土地によっては市区町村の道路や国道、水路に面していることがあります。
その場合は、市区町村や国の職員が立ち会いをしなければならず、調査も複雑化することから、測量費用は100万円程度にまで上る可能性があります。
不動産売却にかかる税金
不動産売却では、各手続きにかかる費用だけではなく、税金も支払わなければなりません。
税金 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
印紙税 | 契約書締結にかかる税金 | 2万円〜10万円 |
譲渡所得税 | 不動産売却益にかかる税金 | 譲渡所得税=(譲渡所得−特別控除)×譲渡所得税率(約20%〜39%) |
登録免許税 | 不動産登記にかかる税金 | 固定資産税評価額×税率(0.4%~2.0%) |
これからご紹介する税金は、多くの方にとって馴染みの無いものばかりです。
理解しにくい点かもしれませんが、一つ一つ整理しながら読み進めてください。
印紙税
一つ目は、印紙税です。印紙税は、契約書などの課税文書を発行する際にかかる税金です。
不動産売買契約書や、工事などの請負契約書などがこの課税文書にあたります。
印紙税を納税する際は、以下の収入印紙を購入して該当書類を貼付します。
収入印紙は近くの郵便局や法務局で購入することが可能ですが、不動産会社が用意することもあるため、誰が準備すべきであるか事前に確認しておきましょう。
また、印紙税は、課税文書1通につき1回課税されることになります。
不動産売買においては売主用と買主用で2通の売買契約書を発行しますから、その場合における印紙税は2通分支払わなければなりません。
ただし、2通のうち売主保管用の1通が単にコピーしただけのものである場合、コピーした方は課税文書の対象にはならないため、印紙税は1度の支払いのみで済みます。
参考:国税庁「No.7120 契約書の写し、副本、謄本等」
印紙税額は、以下のように契約金額によって定められています。
契約金額 | 印紙税 |
---|---|
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 |
ここで1点、注意が必要です。
租税特別措置法によって、一定期間において一部の印紙税率が引き下げられています(軽減税率と言う)。
対象となる課税文書には条件があります。
①不動産の譲渡に関する契約書であること。
②契約金額が10万円を超えるものであること。
③平成26年4月1日〜令和6年3月31日までの間に作成されるもの。
※上記3点に該当する内容であれば、売買金額の変更等の際に作成される契約書や、補充契約書等も対象となる。
参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
租税特別措置法によって、引き下げられている印紙税率は以下の通りです。
契約金額 | 印紙税(軽減税率適用) |
---|---|
1千万円を超え5千万円以下のもの | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
通常時における印紙税と軽減税率適用の印紙税、両方存在することを頭に入れておきましょう。
譲渡所得税(所得税・住民税)
不動産売却を行って得た利益を譲渡所得と言い、これに対して税金を支払わなければなりません。
まず、譲渡所得は以下のような計算式で算出できます。
譲渡所得=不動産の売却価格−取得費用−譲渡費用
不動産の売却価格とは、その名の通り実際に売却できた金額を指します。
取得費用は、その不動産を購入した時の金額や仲介手数料など、購入に伴って発生した費用があげられます。
本来であれば、取得費用からさらに減価償却費用を差し引く必要があります。
基本的に、建物の価値は時間の経過とともに下落していきます。
その資産価値の減少分を減価償却費と呼びます。
発生した費用を一定期間に配分する会計処理を指すこともあります。
参照:国税庁「「減価償却費」の計算について」
しかし、計算式がさらに煩雑化してしまうため、今回は減価償却費用を加味せずに説明を続けていきます。
また、譲渡費用は不動産売却において発生した費用を示し、仲介手数料や土地の測量費などが該当します。
続いて、譲渡所得税の計算式は以下の通りです。
譲渡所得税=(譲渡所得−特別控除)×譲渡所得税率
特別控除とは、一定の条件を満たす場合において、譲渡所得から控除できる仕組みです。
例えば、マイホームを売却する場合は、条件を満たせば3,000万円の特別控除が適用されます。
参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
譲渡所得の種類 | 所得税率 | 住民税率 | 譲渡所得税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡(所有期間が5年以下) | 30.63% | 9.0% | 39.63% |
長期譲渡(所有期間が5年を超える) | 15.513% | 5.0% | 20.315% |
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
譲渡所得税の具体例
譲渡所得税の計算方法について、具体例を用いて解説します。
今回の例として使用する不動産情報は以下の通りです。
- 5,000万円で購入
- 不動産の所有期間は10年
- 7,000万円で売却
- 取得費用は500万円
- 譲渡費用は600万円
まずは、取得費用の計算です。
取得費用=不動産購入価格5,000万円+取得費用500万円=4,500万円
続いて、譲渡所得を算出します。
譲渡所得=売却価格7,000万円−取得費用4,500万円−譲渡費用600万円=1,900万円
最後に、譲渡所得税の算出です。
不動産所有期間が10年であることから、長期譲渡税率を適用します。
譲渡所得税=(譲渡所得1,900万円−特別控除3,000万円)×長期譲渡税率20.315%
=−224.65万円
今回は「マイホーム3,000万円特別控除」が適用されて譲渡所得がマイナスとなったため、譲渡所得税は発生しないことになります。
登録免許税
登録免許税とは、土地や建物の所有権を移転する際にかかる税金です。
こちらは、原則不動産の買主が負担することになりますが、知っておいて損は無い内容ですので、一緒に押さえておきましょう。
登録免許税は、取引形態や登記の種類によって適用される税率が異なります。
取引形態 | 適用税率 |
---|---|
売買 | 2.0% |
相続 | 0.4% |
贈与 | 2.0% |
また、登録免許税は以下の計算方法で算出することが可能です。
登録免許税=固定資産税評価額×税率
固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際に用いる価格であり、不動産が所在する各市町村によって算出されます。
3年に1度見直される金額であり、常に固定では無い点に注意が必要です。
具体例として、固定資産税評価額が5,000万円の不動産を購入した場合の登録免許税を算出してみましょう。
計算式は、以下のようになります。
登録免許税=固定資産税評価額5,000万円×適用税率2.0%=100万円
固定資産税評価額が5,000万円の不動産を売買した場合、登録免許税は100万円と算出することが可能です。
不動産売却のための査定について
前項でも解説した通り、不動産売却においてまず初めに取り組むべきことは査定です。
不動産会社へ査定を申し込む方法として、主にインターネット上での一括査定と、近くの不動産会社を直接訪問して申し込む方法の二種類があります。
どちらにもメリットはあるものの、一番のおすすめは不動産一括査定を利用することです。
なぜ不動産一括査定サイトがおすすめであるのか、不動産一括査定を行う流れについてそれぞれ解説していきます。
おすすめは不動産一括査定
不動産一括査定がおすすめである理由は、以下の3点です。
インターネット上で手軽にできる
不動産一括査定は、パソコンやスマートフォンさえあればいつでもどこでも依頼することが可能です。
不動産情報や利用者情報を入力するだけで、簡単に査定依頼ができてしまいます。
普段お仕事が多忙な方でも、わざわざ不動産会社まで訪問せずに済む上、スケジュール調整の必要もありません。
一度に複数の不動産会社に無料で査定依頼できる
基本的に不動産の査定は無料で依頼することが可能ですが、一度に複数の不動産会社に依頼ができる点は魅力的です。
複数の不動産会社に査定を依頼するたびに毎回同じ情報を入力したり、それぞれ別個にコンタクトを取ることはとても手間がかかります。
また、入力した情報を基に、査定を依頼する不動産会社の候補リストも自動で選び出してくれます。
数多くある不動産会社の中から、自分自身で候補先を洗い出すだけでも相当な時間がかかってしまうでしょうし、悪徳業者を選択してしまうリスクも高くなります。
時間と手間を徹底的に省きながら効率よく複数の不動産会社に査定依頼ができる、そんなメリットがあります。
不動産会社を比較して最適な1社を選ぶことができる
自分に合った最適な不動産会社に出会うためには、どのようにしたら良いのでしょうか。
それは、複数の不動産会社に依頼した上で比較検討することです。
元々お付き合いのある不動産会社がいれば話は別ですが、基本的に最初から査定依頼先を1社に絞ってしまうことは危険です。
不動産一括査定サイトは、手軽に比較検討するためのツールとして非常に優れています。
近くの不動産会社も候補のひとつ
不動産売却時の査定において、一番のおすすめはインターネットでの一括査定である旨お伝えしましたが、近くの不動産会社に依頼することも候補のひとつです。
頻繁に訪問できる上に、直接顔を合わせて話ができるため安心感があるでしょう。懇意にしている不動産会社であれば尚更です。
しかし、近くの不動産会社に依頼するデメリットは、そこで算出された査定額が妥当であるという判断が難しい点です。
一括査定であれば複数社による査定額を見ることができるため、おおよその適正価格を把握することができます。
従って、最終的に近くの不動産会社に媒介を依頼することが決まっていたとしても、査定自体は複数社に行うことをおすすめします。
他社による査定結果が、売り出し価格の交渉などに利用できることもあるためです。
不動産査定の流れ
ここでは、不動産の一括査定を行う場合の流れをご紹介します。
実際にインターネットで一括査定を行うには、以下のような手順を踏むことになります。
利用する不動産一括査定サイトによっては、査定までの流れが若干異なることもありますが、これから解説する流れを抑えておけば、まず問題無いでしょう。
ステップは多いですが、一つ一つは難しい内容では無いためご安心ください。
それでは、各手順について解説します。
①不動産情報を入力する
まずは、査定依頼を行う不動産の基本情報を入力しましょう。
基本情報とは、主に以下のような項目です。
- 住所
- 物件の種類(一戸建てやマンションなど)
- 間取り
- 面積
- 築年数
間取りや面積、築年数については正確である必要はございません。
もちろん正確な数値の方が、精度の高い査定を行うことができますが、大きな差異が無ければそこまで査定結果に影響を及ぼすことはないでしょう。
②利用者の個人情報を入力する
続いて、査定を依頼するご本人の個人情報を入力します。
こちらでは、以下の内容が問われます。
- お名前
- 年齢
- 電話番号
- 住所
- 連絡手段
- 売却の希望時期
連絡手段では、主にメールか電話を選択することができます。
普段電話がとりづらい方は、メールでの連絡を希望しておくと、スムーズに連絡が取りやすくなります。
③査定依頼する不動産会社を選択
不動産情報と個人情報を入力すると、不動産会社の候補が一覧で表示されます。
会社名とその特徴が記載されていることが多いため、自分の希望に合いそうな不動産会社を選択してみてください。
一つの注意点として、この段階では少しでも多くの不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
この時点で不動産会社の良し悪しを決めることは困難です。
可能な限り多くの不動産会社とやりとりをしていく中で、最適な業者を見つけましょう。
④机上査定で申し込む
そもそも査定には、机上査定と訪問査定の二種類あります。
訪問査定については後ほど解説しますが、この時点では机上査定に申し込んでください。
机上査定は、データを基に価格を算出する方法です。
具体的には、①で入力した不動産情報や類似物件の制約事例、市場動向などを参考に査定を行います。
実際に現地調査をせずに査定を行うため、簡易査定とも呼ばれます。
⑤訪問査定依頼先を決定する
不動産会社にもよりますが、机上査定を依頼してからおおよそ3日〜7日程度で査定結果が届きます。
査定結果の内容はもちろんですが、不動産会社の実績、実際にやりとりした際の対応などを総合的に判断した上で、良いと思った業者を選択しましょう。
そして、次の訪問査定を依頼します。
訪問査定はその名の通り、不動産会社の担当者が実際に現地を訪問して行う方法です。
室内の状態や日当たり、周辺環境も確認するため、より正確な査定額を算出することが可能です。
とくに中古物件の売却を検討されている方は、劣化状況が売却価格に大きな影響を及ぼすため、この訪問査定が非常に重要です。
⑥媒介契約を締結する
訪問査定の結果が出たら、その不動産会社に売却業務を委託するか判断しましょう。
判断基準として、最低でも以下の三つの項目について確認できると良いでしょう。
- 査定価格の根拠
- どれくらいの期間での売却を想定した査定額か
- 対象エリアの知見、販売実績はあるのか
まず、査定価格に対して、明確な根拠を示せる不動産会社とても信頼できます。
不動産の基本情報や室内の状況、周辺環境がどう査定に影響したかを説明してもらい、自分自身が納得できれば問題ありません。
併せて、売却できるまでの想定期間も聞いてみましょう。
理想の売却期間と照らし合わせることで、もっと早く売却するためには更に低い金額が現実的である可能性もあります。
また、その不動産会社あるいは営業マンが該当エリアに詳しいのか、そのエリアでの販売実績があるのかは重要な問いです。
知見のない人が不動産の良し悪しを決めることが困難ですし、そのような営業マンに消費者の動向を基に価格調整や販売促進の施策を実行することは期待できません。
不動産査定にデメリットはある?
不動産売却における一括査定は便利である一方で、いくつかのデメリットも存在します。
少しでも不安を取り除いた状態で利用できるよう、不動産一括サイトのデメリットも事前にしっかり認識しておきましょう。
個人情報流出の危険性
一つ目は、個人情報が流出する危険性があることです。
各サイトともに、一括査定を依頼する際は利用者の名前や住所を入力しなければなりません。
当然、各社ともに個人情報漏洩においては細心の注意を払って運営を行っておりますが、このリスクをゼロにすることは困難です。
信頼性のある不動産査定一括サイトを利用すること、怪しい不動産会社とはやり取りをしないことがご自身でできる最善の対策です。
査定価格で売却できる保証は無い
二つ目は、査定価格と同額で売却できる保証は無いことです。
査定結果に一喜一憂して、査定額通りに売却できると思い込んでしまう方もいるでしょう。
しかし、いざ売りに出してみる、結局査定額よりも安い金額で売買契約が成立した、ということも珍しくありません。
査定額は、あくまで売却における売り出し価格を決めるための参考値として捉えましょう。
また、上記を加味すると、必ずしも高い査定金額を提示する不動産会社が良いとは限りません。
大切なことは、その不動産会社に販売実績があって信頼できるのか、そしてその査定額に至った明確な根拠が示されているのかどうかです。
この二点に注意して、一括査定に取り組みましょう。
査定の依頼先から営業電話が来る可能性がある
不動産の一括査定を依頼すると、査定を担当した不動産会社から営業の電話がかかってくることがあります。
普段多忙でなかなか電話に出られない方や電話での対応が面倒である方は、一括査定を依頼する際に連絡手段を選択できることがあるため、必ずメールでのやり取りを希望しましょう。
また、査定を依頼する不動産会社を数社に絞ってみることも効果的です。
しかし一方で、不動産会社の担当者と直接電話でやりとりすることによって、少なからず相手の雰囲気や態度を感じ取ることができます。
事前に不動産会社を知ることができる良い機会でもあるので、電話など直接やり取りができる機会を設けてみてはいかがでしょうか。
不動産売却で起こるトラブル事例
不動産売買において、トラブルに巻き込まれることは少なくありません。
ここでは、実際に発生した3つのトラブル事例をご紹介します。どのような事例が発生しているのかを事前に把握して、トラブル回避のために役立ててください。
建物瑕疵をめぐるトラブル
一つ目は、建物の瑕疵に関するトラブルです。
買主Xは、仲介業者Zの媒介によって売主業者Yから一戸建ての不動産を購入しました。
購入前の説明では、1階の床下は断熱処理がなされ、収納スペースもあることが伝えられていました。
しかし、引き渡しを受けた約2ヶ月後、1階の床下にカビが発生していることが発覚。
調査を行ったところ、断熱処理がされておらず、収納スペースもなかったことがわかりました。
買主は補修及び損害賠償請求と仲介手数料の返還を求めましたが、結果、売主業者Yが補修を行うことで和解が成立しました。
いざ建物の引き渡しを受けてみると、「事前に受けていた説明と違った」、「瑕疵が見つかった」というトラブルはよく起こります。
事前の建物調査を入念に行い、発見した瑕疵はもちろんのこと、懸念点まで買主に伝えることができると、売買取引後にトラブルに巻き込まれるリスクを最小限に留めることができます。
参照:国土交通省「特定紛争土地付建物売買に係る建物瑕疵をめぐるトラブル」
手付解除の場合の媒介報酬
二つ目は、手付金の放棄によって契約が解除された場合における、媒介報酬の請求についてです。
不動産業者Xによる仲介の元、買主Aは売主Yと売買契約を締結するも、手付金を放棄することによって解除になりました。
不動産業者Xは、一度売買契約が締結されている以上は媒介報酬を受け取る権利があるとして請求したものの、売主Yはこれを拒否しました。
過去の判例や学説によれば、媒介によって売買契約が成立した以上、その後に契約解除となっても報酬請求権には何ら影響を与えないとされています。
また、手付金が比較的少額であったこと、売主Yがそこまで大きな損害を被ったとは言えないことから、本件においては不動産会社Xによる媒介報酬の請求が認められました。
売主からすると、売却益を得ることができない中で、媒介手数料を支払うことには抵抗があるかもしれません。
しかし、不動産会社も責務を全うしていることは事実であり、それに見合った報酬は支払われるべきでしょう。
また、買主による売買契約の解除は、売主側で制御することは非常に困難です。
強いて対策を一つあげるとすると、媒介契約を結んでいる不動産業者として協力して、売買取引の成立を妨げ得るポイントを把握しておくことです。
事前に対策を立てることができれば、売買取引を成功させる確率が高まるでしょう。
参照:国土交通省「手付解除の場合の媒介報酬」
過去の建物火災についての調査・説明義務
三つ目は、過去に発生した火災被害の説明義務についてです。
すでにご紹介した建物の瑕疵とも繋がる事例ですが、こちらの内容も頭に入れておきましょう。
買主Xは、不動産会社Zの仲介によって売主Yから不動産を購入し、引き渡しを受けました。
しかしこの物件は、過去に火災が発生しており、台所の一部が焼損したことがあったのです。
買主Xは事前にそのような説明を受けておらず、火災によって建物の市場価値も落ちているという主張から損害賠償請求を行いました。
結果、この事案は隠れた瑕疵と債務不履行があったと言う判断から、損害賠償請求が認められることになりました。
本事例のように、過去に発生した出来事は見逃しがちですが、購入の意思決定に関わる内容は全て告知しなければなりません。
「過去のことだから問題ない」、「バレなければ大丈夫」と思っていると、後々大きなトラブルに巻き込まれかねません。
不動産売却において不利になる内容であっても、欠点を隠すことは絶対に避けましょう。
参照:国土交通省「過去の建物火災についての調査・説明義務」
不動産売却でおすすめの一括査定サイト
不動産売却の流れでも解説したように、まずは売却を検討している不動産の査定から始まります。
不動産がいくらで売却できるかを知ることも当然ですが、ここで信頼できる不動産会社に出会えるかが、売却の成功を左右すると言っても過言ではありません。
これからご紹介するのは、不動産売却においておすすめの3つの一括査定サイトです。
いずれも無料で利用することができるため、使わない手はありません。
それぞれの強みや特徴を理解して、理想の不動産会社に出会えるよう使いこなしていきましょう。
HOME4U
一つ目は、HOME4Uです。
HOME4Uは、2001年に日本で初めてインターネットでの不動産一括サービスを開始しました。約20年の実績を誇り、現在では年間で1,400万人が利用するサイトです。
NTTデータグループが運営しているため、厳正な審査を突破した不動産会社しか取引することが許されません。
悪徳業者が徹底的に排除されており、安心して利用することが可能です。
また、HOME4Uはプライバシーマークを取得しています。
個人情報保護の体制構築に優れている証であり、第三者に情報が漏れる危険性が著しく低いことが窺えます。
・実績のあるサイトを使用したい!
・悪徳業者とのやりとりは避けたい!
・プライバシーは守りたい!
すまいValue
二つ目は、すまいValueです。
すまいValueの一番の特徴は、大手の不動産会社6社が共同運営流しているサイトであり、査定の依頼はこの6社のみに限定されていることです。
すまいValueを運営する6社は、以下の通りです。
いずれも、どこかで名前を聞いたことのある不動産会社ばかりではないでしょうか。
知名度が高く、販売実績も豊富であるためとても信頼できます。
「たった6社だと対応できるエリアも限られるのでは?」と心配される方もなかにはいるかもしれません。
しかし、6社合計で875の店舗が全国に存在するためご安心ください。
- とにかく大手の不動産会社が良い!
- 信頼と実績のある不動産会社に依頼したい!
- 少ない選択肢から吟味して選択したい!
\ 売却サポートサービスが充実! /
おうちクラベル
三つ目は、おうちクラベルです。SREホールディングスが運営している不動産一括査定サイトです。
運営会社の信頼度が高いことは当然メリットですが、ここではAIによる不動産査定を行うこと可能です。
AIによる客観的な査定は、どの不動産会社を決定するための一つの判断軸になります。
また、おうちクラベルは一度に最大15社へ査定を依頼することができるため、多くの選択肢から最適な不動産会社を選ぶことができます。
- 信頼できるサイト運営会社が良い!
- AI査定を利用して、客観的なデータに基づいた結果が知りたい!
- 多くの査定結果から、少しでも条件の良い不動産会社を選びたい!
\ AI査定で結果がすぐわかる! /
不動産売却に関するよくある質問
不動産売却にかかる手数料や税金は?
まず、不動産売却にかかる主な費用は以下の通りです。
項目 | 金額 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却価格の3%+6万円)+消費税(10%)※ | 売買契約締結時あるいは決済時 |
司法書士への手数料 | 5万円〜10万円 | 移転登記時 |
抵当権抹消費用 | 25,000円前後 | 移転登記時 |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円〜30,000万円 | 住宅ローン返済時 |
その他費用 | 各項目による | 各項目による |
また、不動産売却においては、別途発生する税金も支払わなければなりません。
税金 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
印紙税 | 契約書締結にかかる税金 | 2万円〜10万円 |
譲渡所得税 | 不動産売却益にかかる税金 | 譲渡所得税=(譲渡所得−特別控除)×譲渡所得税率(約20%〜39%) |
登録免許税 | 不動産登記にかかる税金 | 固定資産税評価額×税率(0.4%~2.0%) |
一括査定サイトの注意点はある?
非常に便利で使い勝手の良い一括査定サイトですが、利用時は以下のような注意点があります。
個人情報流出の危険性
当然、各社ともに個人情報漏洩においては細心の注意を払って運営を行っておりますが、このリスクをゼロにすることは困難です。
信頼性のある不動産査定一括サイトを利用すること、怪しい不動産会社とはやり取りをしないことがご自身でできる最善の対策です。
査定価格で売却できる保証は無い
査定結果に一喜一憂して、査定額通りに売却できると思い込んでしまう方もいるでしょう。
しかし、いざ売りに出してみる、結局査定額よりも安い金額で売買契約が成立した、ということも珍しくありません。
査定額は、あくまで売却における売り出し価格を決めるための参考値として捉えましょう。
査定の依頼先から営業電話が来る可能性がある
不動産の一括査定を依頼すると、査定を担当した不動産会社から営業の電話がかかってくることがあります。
普段多忙でなかなか電話に出られない方や電話での対応が面倒である方は、一括査定を依頼する際に連絡手段を選択できることがあるため、必ずメールでのやり取りを希望しましょう。
不動産はどれくらいの期間で売却できる?
不動産売却にかかる期間は、平均して3〜6ヶ月程度と言われています。
しかし、あくまで平均値であるため、最悪の場合は1年以上かかってしまう可能性もあります。
売却を検討している不動産の資産価値や売り出し価格によって大きく前後するため、不動産会社に相談しながら、自分の希望に合った期間で売却できるよう取り組みましょう。
不動産売却はどこがいい?
不動産売却を検討されている方の優先順位や、エリアなどによって大きく異なるため、一概におすすめの不動産会社をお伝えすることはできません。
しかし、皆さんに共通して言えることは、複数の不動産を売却する会社を比較検討してから、最適な1社を選択することが非常に重要である点です。
まずは、不動産一括査定サイトを活用して、様々な不動産会社にコンタクトを取ってみることをおすすめします。
不動産一括査定サイト一括査定サイトの評判は以下の記事をご参照ください。
\ 業界最大9社まで一括査定が可能! /
不動産売却のまとめ
不動産売却における全体の流れを中心に、各ステップで発生する費用や税金について解説しました。
知識不足によって損をすることが無いよう、そしてトラブルに巻き込まれるリスクを少しでも軽減できるよう何度も読み返してみてください。
不動産売却は、数ヶ月にわたる長期的な取り組みになる上、今後の人生設計に大きな影響を与えかねない大きなイベントですあり、成功のためには信頼できる不動産会社の協力が必要不可欠です。
不動産一括査定サイトなどを活用して、自分に合った不動産会社を見つけましょう。
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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上記の中からあなたのニーズに合う不動産一括査定サイトを選んでチェックしてみましょう。
不動産一括査定サイトの評判を確認したい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。