不動産査定とは、手持ちの不動産がいくらで売れるのかを不動産仲介会社に算出してもらうことです。
査定価格は、周辺で売買された類似物件の成約価格をもとに、売却する物件の特徴(築年数や間取り、耐震基準への適合性、内外装など)と不動産市況を加味して割り出されます。
【価格査定書の例】
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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上記の中からあなたのニーズに合う不動産一括査定サイトを選んでチェックしてみましょう。
不動産一括査定サイトの評判を確認したい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。
査定結果は机上査定であれば早くて数時間後、遅くても翌日には通知されます。
訪問審査の場合は、現地調査に1~2時間、査定結果が届くまでは1週間程度かかるのが一般的です。
なお、売却が決まったときに成功報酬として発生する仲介手数料が不動産会社の利益になるため、査定をするだけなら料金は一切かかりません。
不動産会社に査定を依頼すると不動産査定書を無料で作成してくれて、査定書には査定額だけではなくその根拠となる明細が記載されています。
査定額の根拠には、建物の築年数、新耐震基準の適合性をはじめ、外装や内装、設備などが挙げられます。
売主自身が知識を身につけ、賢い査定方法を知ることが、利益の最大化につながります。
本記事では、不動産査定の基礎知識から不利にならないためのコツまで解説します。
大切な不動産を、できるだけ有利な条件で売却するための第一歩を、踏み出しましょう。
宅地建物取引士・一級建築施工管理技士の資格を持つ方が不動産査定について詳しく解説してくれている動画もあるので参考にしてください。
※【不動産売却】高く売りたいなら査定が超重要です!
不動産査定とは何か?基本の知識
最初に不動産査定とは何か、基本の知識から見ていきましょう。
不動産査定の概要
不動産査定とは、売却を検討している不動産の適正価格がどの程度か調査して、査定価格を算出することを指します。
不動産には、決められた価格が存在せず、時価での取引となります。時価とは、その時々の相場価格のことです。
よって、不動産の売却を検討するタイミングで査定を依頼し、「今、売ったら、いくらで売れるか?」という目安を把握する必要があります。
そのために行うのが、不動産査定です。不動産査定は、不動産会社に依頼して行います。
最近では、インターネット上で複数の不動産会社に依頼ができる不動産一括査定サイト(例:HOME4Uの一括査定サービスなど)が多く利用されています。
不動産査定の流れ
簡単に、不動産査定の流れを確認しましょう。
- 査定の依頼:不動産の所有者が、不動産会社に査定の依頼をします。
- 対象不動産の調査:依頼を受けた不動産会社が、対象物件の調査を行い、周辺情報や物件の状態などを確認します。
- 不動産会社による査定:調査結果をもとに、不動産会社が査定価格を算出します。
- 査定結果の報告:査定価格が算出された後、不動産会社から依頼者に査定結果が報告されます。
上記の詳細は後ほど「3. 不動産査定の流れ 4ステップ」にて解説します。
ここでは大まかな流れをつかんでおきましょう。
不動産査定を依頼する前に知っておきたい重要ポイント
次に、不動産査定を依頼する前にインプットしておきたい知識について、見ていきましょう。3つのポイントがあります。
- 不動産取引に伴う5つの価格
- 価格査定と鑑定評価の違い
- 査定でチェックされる項目
不動産取引に伴う5つの価格
まず知っておきたいのが、査定によって算出される「査定価格」の位置づけです。
不動産取引では、さまざまな“価格”が登場します。ここで整理しておきましょう。
【不動産取引に伴う5つの価格】
価格の種類 | 説明 |
---|---|
希望売却価格 | 売主が希望する売却価格 |
査定価格 | 不動産会社が算出したその物件の適正価格 (不動産会社によって異なる場合あり) |
売り出し価格 | 売主と不動産会社が相談して決定した販売時の値付け価格 |
購入希望価格 | 買主が物件を購入したいと希望する価格 |
成約価格 | 売主と買主が交渉を経て最終的に合意した価格(その物件の最終的な契約価格) |
査定価格=見込みの金額
査定価格は。不動産会社が「おそらく、これくらいの価格で売れるのが妥当でしょう」と予測する見込み価格です。
不動産会社によって、査定価格に差が出ることは珍しくありません。
質屋などの買取査定とは異なり、「不動産の査定価格=かならず売れる価格ではない」という認識を、明確にしておきましょう。
売主が、売却代金として実際に受け取る金額は「成約価格」です。成約価格は、査定価格より高くなることもあれば、低くなることもあります。
高額の査定価格を出してもらっても、その金額で売れなければ、実益はありません。
不動産の査定では、「できる限り現実的な、正確な査定をしてもらう」ことが大切です。
精度の高い査定があれば、高額の成約価格につながる売却戦略を立てるために、役立ちます。
価格査定と鑑定評価の違い
不動産会社に依頼する価格査定と類似したものとして、「鑑定評価」があります。鑑定評価と価格査定は異なりますのでご注意ください。
鑑定評価は、国家資格である不動産鑑定士に依頼して行うものです。裁判での立証資料や遺産分割のための評価など、公的に信頼性の高い評価額が必要な場合に行います。
以下に、価格査定と鑑定評価の違いを表にまとめました。
【価格査定と鑑定評価】
項目 | 価格査定 | 鑑定評価 |
---|---|---|
依頼先 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
概要 | 不動産会社が周辺相場などを参考に算出する売却の見積もり価格 | 不動産鑑定士が鑑定評価基準に基づいて行う公的に信頼性の高い評価 |
目的 | 一般的な不動産取引で、売却価格の参考として用いられる | 裁判での立証資料、遺産分割、担保物件など、公的な信頼性の高い評価額が必要な場合に利用される |
費用 | 不動産会社のサービスとして無料で行われる | 鑑定費用が必要となる(目安は20万円〜) |
所要期間 | 1週間程度 | 2〜3週間程度 |
本記事で取り上げているのは、鑑定評価ではなく、不動産会社に依頼する価格査定になります。
鑑定評価について知りたい方は、以下のページにてご確認ください。
査定でチェックされる項目
不動産の価格査定では、不動産会社の担当者が物件を調査します。具体的にどのような項目をチェックしているのか、知っておきましょう。
質問されたら答えられるようにしておくこと、きれいさ・においなどの改善できる部分は改善しておくことで、より正確な査定結果が得られます。
土地・戸建て
項目 | 詳細 |
---|---|
1. 敷地形状 | 形状、大きさ、擁壁の有無、法地(のりち)など |
2. 敷地境界 | 隣地との境界、境界標の有無など |
3. 敷地内状況 | 物置、境界塀、樹木、古井戸など |
4. 接道幅員 | 接道の長さ、前面道路の幅員など |
5. 近隣関係 | 周辺の建物、越境の有無、高圧線の存在など |
6. ライフライン | 上下水道、ガス、浄化槽など |
7. 建物状況 | きれいさ、日当たり、増改築、建物の傾きなど |
8. 管理状況 | 整理整頓、設備の破損、修繕の状況など |
9. 使用状況 | 居住中か空き家か、賃貸住居、駐車場利用など |
10. 騒音臭気 | 騒音、におい、揺れなど |
マンション 専有部分
項目 | 詳細 |
---|---|
1. 眺望景観 | 眺望景観、前面道路の規模 |
2. 室内状況 | きれいさ、日当たり、湿気、リフォームの有無 |
3. 設備状況 | 設備の有無、破損修繕の状況 |
4. 近隣関係 | 上下左右の部屋との関係 |
5. 騒音臭気 | 騒音、におい、揺れなど |
マンション 共用部分
項目 | 詳細 |
---|---|
1. 管理状況 | 整理整頓、管理会社名と連絡先、管理人など |
2. 共用施設 | 共用施設の有無、使用状況など |
3. 駐車・駐輪場 | 有無、利用形態(機械式、自走式)など |
不動産査定の流れ4ステップ
続いて、実際の不動産査定の流れを、詳しくご紹介します。
査定の依頼
1つめのステップは「査定の依頼」です。
不動産査定の依頼先を検討するときに重要なのは、
「売却の仲介を、どの不動産会社に依頼するか?」
を見据えながら、候補となる不動産会社に査定依頼することです。
査定価格や、査定を通じたやり取りは、媒介契約を締結するのにふさわしい不動産会社を見極めるために、有益な検討材料となります。
すでに、仲介を依頼したい不動産会社の候補がある場合には、まずはその会社に査定依頼をしましょう。
依頼したい不動産会社が決まっていない場合や、これから候補を探したい場合には、一括査定サイトの利用がおすすめです。
【一括査定サイトの例】
サイト名 | 特徴 | 運営企業 |
---|---|---|
HOME4U | 国内初・日本最大級の不動産一括査定サイト | NTTデータ スマートソーシング (NTTグループ) |
すまいValue | 業界大手6社による直営サイト | 小田急不動産、住友不動産販売、東急リバブル、野村不動産ソリューションズ、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)、三菱地所ハウスネット |
おうちクラベル | 大手・フランチャイズ・地元密着など幅広い不動産会社に依頼可 | SREホールディングス (ソニーグループ) |
マンションナビ | マンション専門の一括査定サイト | マンションリサーチ |
一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社に依頼する手間が省けます。同じ条件で一度に依頼するので、不動産会社の比較がしやすいメリットもあります。
対象不動産の調査
2つめのステップは「対象不動産の調査」です。
これは、依頼を受けた不動産会社が、査定価格を算出するために必要な調査を行うプロセスです。
【不動産調査の例】
- 法務局での公簿調査
- 役所での法令上の制限の調査
- 所有者からのヒアリング調査
- 生活関連設備調査
- 現地調査
具体的にどのような調査が行われるかは、査定の種類によって異なります。
【査定の種類と特徴】
簡易査定(机上査定)
現地調査は行わずに、簡易的な調査のみで査定価格を算出することを「簡易査定(机上査定)」といいます。
【必要なもの:簡易査定】
地図、登記記録(登記簿)等
- ほとんどの場合、物件を特定できれば簡易査定は可能。
- 地図については不動産会社に備え付けのもので充足することも多い。
- 登記記録(登記簿)は、物件の正確な面積等を把握するために必要なので、提出を求められる場合がある。ただし、査定結果を物件価格ではなく、㎡や坪当たりの単価で示す場合は不要な場合も。
出典:不動産ジャパン
一括査定サイトで複数の不動産会社に依頼した場合には、いったん簡易査定の結果を受け取る流れが一般的です。
5〜6社の簡易査定を確認し、その中から数社を選んで、訪問査定のプロセスに進むことになります。
訪問査定(詳細査定)
訪問査定では、不動産会社の担当者が現地を訪れて、物件の状態などを細かく確認します。
【必要なもの:訪問査定】
地図、登記記録(登記簿)、その他詳細資料(購入時の重要事項説明書、建築関係書類等)
- 詳細査定の場合は、物件を特定する資料に加えて、その他の詳細資料が必要となる場合がある。
- 不動産会社が独自に調査することも可能だが、あらかじめ必要な資料を提示すると査定を円滑に進めることができる。詳細査定に当たっては、どのような資料が必要となるかを不動産会社に確認した上で、できるだけ多くの資料や情報を提供するのが望ましい。
出典:不動産ジャパン
「2-3. 査定でチェックされる項目」で紹介した内容をもとに、担当者から質問があれば答えられる準備をしておきましょう。
不動産会社による査定
3つめのステップは「不動産会社による査定」です。
不動産会社が収集した情報をもとに、査定価格を算出します。
近隣の類似物件の契約価格、市場の需要と供給のバランスなど、周囲の相場を考慮して、売却が可能と思われる見込み価格が検討されます。
査定にかかる期間は、数日〜1週間程度です。
査定結果の報告
4つめのステップは「査定結果の報告」です。
査定の算出が終わると、不動産会社から依頼主へ、査定結果の報告があります。
単に金額を確認するだけでなく、その査定価格の根拠となっている情報を十分に確認することが重要です。
査定価格の根拠の説明は、不動産会社によってさまざまな方法で行われます。
【根拠の説明の例】
- 価格査定書などの書面の交付
- 取引事例などのデータの提示
- 経験に基づく相場情報
- 地元の生情報の提供
参考:不動産ジャパン
具体的にどのようなポイントを見るべきかについては、次の章をご覧ください。
不動産査定の結果を見るポイント
不動産査定の結果が手元に届いたら、以下のポイントを見ていきましょう。
相場との比較
まず、自分で調べた相場と査定価格を比較して、妥当性を確認します。
相場を調べるための情報は、不動産ジャパンの「相場・取引動向」にわかりやすくまとめられています。
【不動産ジャパンのページ】
不動産ジャパン「相場・取引動向」にアクセスして、対象不動産に関するデータの入手方法を調べ、いくつかのデータを見てみましょう。
たとえば、マンションや一戸建てであれば、「レインズマーケットインフォメーション」にて、実際に売買された成約価格の情報を確認できます。
【レインズマーケットインフォメーションのページ】
相場よりも査定価格が高い場合、あるいは低い場合には、不動産会社にその理由を質問して、把握しておくことが重要です。
相場よりも査定価格が高い理由・低い理由は、対象不動産の強み・弱みといえるからです。
一方、明確な根拠がないのに、相場と乖離した査定価格を提示した不動産会社は、信頼性に疑問符がつくと考えておきましょう。
不動産会社同士の比較
次に、不動産会社同士の査定価格を比較します。
どの不動産会社も、ほぼ同じ査定価格に収まっている場合には、その金額の妥当性が高いと判断できます。
一方、不動産会社同士で価格の差が出ている場合には、そのことを担当者に率直に質問するのが、良い方法です。
何が原因で査定価格に差が出ているのか、ヒアリングしながら特定しましょう。
【査定価格に差が出る原因】
- 査定基準や手法の違い
- 市場の見通しや相場観の違い
- 査定力(高精度の査定を出す力)の違い
- 販売力(高い売却価格で売る力)の違い
このプロセスを丁寧に行うことで、
「どの不動産会社に仲介を依頼するのが、自分たちに最も合っているか?」
が、徐々に明確になってきます。
補足として、査定の根拠の説明がわかりやすい営業担当者は、売却の営業力も期待できます。
説明が上手な人は、物件の強みやアピールポイントを伝えるのも、上手なためです。
不動産査定で不利にならないためのコツ
最後に、不動産査定で不利にならないためのコツを3つ、お伝えします。
物件のアピールポイントを十分に伝える
1つめのコツは「物件のアピールポイントを十分に伝える」です。
査定で避けたいのは、本当はもっと価値の高い物件なのに、情報不足によって低く見積もられてしまう事態です。
プラス評価になる可能性のある情報は、抜け漏れなく、不動産会社に伝えるようにしましょう。
【伝える内容の例】
- 耐震改修や構造の補強の履歴
- 設備のアップグレードの履歴
- リフォームや改装を行った際の詳細
- 周辺環境の利便性
- その他、購入希望者の視点で見て魅力的なポイント
所有者だからこそ知っている“その不動産の価値”を的確に伝えることが、査定で不利にならないために役立ちます。
複数の不動産会社に査定してもらう
2つめのコツは「複数の不動産会社に査定してもらう」です。
先ほど「4-2. 不動産会社同士の比較」のパートでも触れましたが、査定結果は比較してこそ、有益な情報が多く得られます。
最終的に、どの不動産会社に依頼するにせよ、最低3社の査定は取得して、比べてみましょう。
まれに悪質な業者も存在するため、トラブルを事前に察知して回避するという意味でも、複数の査定が役立ちます。
※査定にまつわるトラブルについては、「不動産の無料査定トラブルの具体例と対策ポイント・発生時の対処法」をご覧ください。
現地調査の日には状態を整えておく
3つめのコツは「現地調査の日には状態を整えておく」です。
物件の外観や内装の状態が整っていることが、査定価格に好影響となるケースがあります。
たとえば、居住中の住宅であれば、状態を整えることで、
「きちんと手入れしながら、きれいに住まれている住宅」
という評価となり、“築年数の割には状態が良好”といった評価を得やすくなります。
具体的には、以下のポイントを実践しましょう。
- 喫煙やペットなどの痕跡・汚れが残らないように十分に清掃する
- 不用品を廃棄し、室内を片付けて、広くスッキリ見えるようにする
- マンションの場合、共有部分も清掃する
- カビの発生や壁紙の剥がれなどは補修しておく
- 庭やバルコニーを整理し、草刈りや植木の手入れを行う
- 水回り(キッチン、トイレ、浴室)を清潔にしておく
- 照明器具や窓ガラスを清掃して室内が明るく見えるようにする
まとめ
本記事では「不動産査定」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
不動産査定を依頼する前に知っておきたい重要ポイントとして、以下をご紹介しました。
- 不動産取引に伴う5つの価格
- 査定価格=見込みの金額
- 価格査定と鑑定評価の違い
- 査定でチェックされる項目
不動産査定の流れは、次の4ステップとなります。
- 査定の依頼
- 対象不動産の調査
- 不動産会社による査定
- 査定結果の報告
不動産査定の結果を見るポイントとしては、以下2つが重要です。
- 相場との比較
- 不動産会社同士の比較
不動産査定で不利にならないためのコツとして、次の3つを意識してみてください。
- 物件のアピールポイントを十分に伝える
- 複数の不動産会社に査定してもらう
- 現地調査の日には状態を整えておく
上記の知識があれば、納得できる不動産査定を経て、満足できる売却への一歩を踏み出せるはずです。
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