実家を処分する3つの方法と、それぞれのメリット・デメリットは以下の表の通りです。
処分の方法 | おすすめするケース |
---|---|
自分で 売却する | ✓ 実家を欲しがっている人が既に現れている |
不動産会社に 売却仲介をしてもらう | ✓ 実家は売れる見込みのある状態(条件)である ✓ 実家をできるだけ高額で売却したい ✓ 専門家に任せて取引できるなら、多少時間がかかっても構わない |
不動産会社に 買取を依頼する | ✓ できるだけ早く実家を処分したい ✓ 実家は老朽化して売却が難しそうな物件である ✓ 売却価格が多少抑えられても早めに現金化したい |
不動産仲介や買取の流れを、わかりやすいステップでご紹介します。
不動産売却が初めての方も、ステップに沿って進めれば、スムーズに、納得感を持って実家の処分が進められます。
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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上記の中からあなたのニーズに合う不動産一括査定サイトを選んでチェックしてみましょう。
不動産一括査定サイトの評判を確認したい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。
- 実家を処分する3つの方法と各々のメリット・デメリット
- 実家の処分方法をどれにするかの判断基準
- 実家を処分する前に準備しておくこと
- 実家を不動産仲介・不動産買取で処分する各々の流れ
- 実家の処分にかかる費用の内訳と相場
後半では、処分にかかる費用の内訳や相場を解説しますので、しっかり頭に入れておきましょう。
この記事を読めば、ご自身と実家の状況に合った処分方法が判断できます。
一刻も早く実家を処分したい人、多忙から処分を先延ばしにしている人にも役立つ内容ですので、ぜひ最後まで目を通していただけたらと思います。
宅地建物取引士・一級建築施工管理技士の資格を持つ方が、実家の処分について詳しく解説している動画もあるので参考にしてください。
※【不動産売却】実家じまい!失敗しない処分方法!
実家の処分|3つの方法と判断基準
空き家になった実家を放置していると、維持費用の負担だけでなく、老朽化や近隣トラブルなどのリスクが高まります。
住む予定のない実家は、できるだけ早いうちに処分することが重要です。
まず1章では、実家を処分する下記の3つの方法を解説します。
- 自分で売却する
- 不動産会社に売却仲介をしてもらう
- 不動産会社に買取を依頼する
それぞれのメリットとデメリットを示した下表をご覧ください。
自分で 売却する | <メリット> ✓ 仲介手数料が抑えられる <デメリット> ✓ 買主が現れるとは限らない ✓ トラブルが起きやすい ✓ 売却価格が相場より安くなる |
---|---|
不動産会社に 売却仲介をしてもらう | <メリット> ✓ 売却の煩雑な手続を不動産会社が代行してくれる ✓ 不動産会社が買主を探して有利な売却を行ってくれる ✓ 高額で売却できる可能性がある <デメリット> ✓ 仲介手数料がかかる ✓ 買い手が見つかるまでに長期間かかる可能性がある |
不動産会社に 買取を依頼する | <メリット> ✓ 数日から数週間で実家を売却(処分)できる ✓ 修繕費用がかからない <デメリット> ✓ 市場価格の約70%〜80%程度の価格で買い取られる ✓ 条件の悪い家は買取してもらえないケースがある |
あなたに合った処分方法はどれでしょうか。
順に解説しますので、実家の状況と照らし合わせながらみていってください。
自分で売却する
実家を「自分で売却する」 | |
---|---|
メリット | 仲介手数料が抑えられる |
デメリット | 買主が現れるとは限らない トラブルが起きやすい 売却価格が相場より安くなる |
1つめの処分方法は、不動産会社など専門家を挟まず、自分で売却する方法です。
個人間のやり取りになるため、仲介手数料など、売却のためにかかる費用が抑えられます。
築年数が古く、老朽化した家は不動産会社に仲介を頼んでもなかなか売却できません。
解体して、更地にしてから土地を売却する案もありますが、解体費用がかかってしまいます。
それらを考慮すると、古い持ち家を自分で売却する方法は、早くて、費用も安く抑えられる、1番簡単な処分方法といえます。
ただしそれは、買ってくれる人がいる場合に限られます。
実際には、身内や知人、近隣住民などから申し出があるケースを除いて、自力での売却は容易ではありません。
また、不動産の素人同士のやり取りになるため、トラブルなどに注意が必要です。
たとえば、後になって物件の痛み等を理由に契約不適合責任を問われる※ようなことがあっても、売り主である自分個人で対応するしかありません。
※契約不適合責任:あらかじめ目的物に対して取り決めた種類や品質に関して、契約内容に適合しない引き渡しをおこなった場合につき、売主側で負担する責任
また、トラブルが起こらなくても、知人だけに物件の適正価格より安く買い叩かれてしまうケースがほとんどです。
自分での売却は簡単なようでも、トラブルのリスクがあり、値引き等で仲介手数料以上の支出が発生する可能性があることを覚えておきましょう。
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不動産会社に売却仲介をしてもらう
実家を「自分で売却する」 | |
---|---|
メリット | 売却の煩雑な手続を不動産会社が代行してくれる 不動産会社が買主を探して有利な売却を行ってくれる 高額で売却できる可能性がある |
デメリット | 仲介手数料がかかる 買い手が見つかるまでに長期間かかる可能性がある |
実家の処分方法として、不動産会社に売却の仲介を頼む方法があります。
不動産会社を介して実家の買い手を見つけ、売買契約を結びます。
売り主は、物件公開から価格交渉、契約手続きなどを不動産会社が代行してくれるので、安心して取引が進められます。
不動産会社が広告やネットワークを駆使して、売り主に有利な売却を探ってくれるのも仲介を頼むメリットです。
この方法では、売却価格を自分で設定できるため、他の手段に比べて高額での取引が期待できます。
ただし、当然ながら売却価格に応じた仲介手数料※が発生します。
一般的に手数料は売却額から差し引かれるため、手元に残る金額が想定より少なくなる可能性があります。
また、市場の状況、物件の状態によっては、買い手が見つかるまでに長い時間がかかることがあり、実家を早く現金化したい人は注意が必要です。
※仲介手数料の相場については「仲介手数料」で詳しく解説しますので参考にしてください。
不動産会社に買取を依頼する
実家を「自分で売却する」 | |
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メリット | 数日から数週間で実家を売却(処分)できる 修繕費用がかからない |
デメリット | 市場価格の約70%〜80%程度の価格で買い取られる 条件の悪い家は買取してもらえないケースがある |
3つめの処分方法は、不動産会社に直接実家を買い取ってもらう方法です。
買い手を見つける必要がないため、迅速に売却(処分)ができます。
一概にはいえませんが、多くのケースで査定から契約を経て、売却を完了するまでの期間が、数日から数週間と短く、急いで処分して現金を得たい人におすすめです。
また、買取は物件の状態を問わずに行われるため、売り主は修繕費用や時間の負担がありません。
買取後の物件管理や再販売の是非についても、すべて買い取った不動産会社が負ってくれるため、売り主は実家に関する悩みから解放されます。
ただ、大きなデメリットとして、買取は通常、市場価格より低い価格で行われることが挙げられます。
不動産会社が物件の管理や再販売のリスクを負うため、買値が市場価格の約70%〜80%程度の価格に抑えられてしまうのです。
また、リフォームや清掃、再販売までを不動産会社が請け負うため、老朽化が進み過ぎた家や、立地などの条件が悪い家は買取をしてもらえないケースがあることも覚えておきましょう。
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【状況別】後悔しない実家の処分方法
ここまでのまとめとして、処分方法それぞれに適しているのはどんなケースかを提示します。
下表をご覧になって、自分(家族)の状況に1番適切な処分方法を検討しましょう。
【状況別|おすすめの実家処分方法】
①「自分での売却」がおすすめのケース |
---|
✓ 実家を欲しがっている人が既に現れている |
②「不動産仲介」がおすすめのケース |
✓ 実家は売れる見込みのある状態(条件)である ✓ 実家をできるだけ高額で売却したい ✓ 専門家に任せて取引できるなら、多少時間がかかっても構わない |
③「不動産買取」がおすすめのケース |
✓ できるだけ早く実家を処分したい ✓ 実家は老朽化して売却が難しそうな物件である ✓ 売却価格が多少抑えられても早めに現金化したい |
①の「自分での売却」は、買い手が現れていない限り現実的ではありません。
したがって、実家の処分方法は大きく②「仲介」か、③「買取」に分けられます。
結論を端的にまとめると以下になります。
✓ 売れる見込みのある実家なら、不動産仲介会社に相談する
✓ 老朽化して買い手が見つかりにくい実家なら、不動産買取を検討する
いかがでしょう。
実家処分の方向性が定まってきたのではないでしょうか。
決断したらすぐ実施していただけるように、次章からは、実家を処分するための準備と、売却の流れを解説していきます。
【買取査定可能なサイト】
一括査定サイト名 | 一度の依頼でもらえる査定数 | 提携不動産会社数 | 特徴 |
---|---|---|---|
LIFULL HOME’S | 記載なし | 日本全国3,913社 | 匿名査定ができる 任意売却査定も可能 住まいに関わるコンテンツが充実 地図上でマンション名と参考価格が丸見えになる「プライスマップ」が便利 過去の成約事例が見られる「不動産アーカイブ」が参考になる 住み替えの場合「空き家バンク」も利用可能(国土交通省のモデル事業請負) |
いえカツLIFE | 最大6社 | 一都三県・大阪府限定500社 | 仲介・業者買取・リースバックの3つの査定額を一挙に一括比較ができる 相続・離婚・金銭問題の絡む物件・共有部分の売却など難しい案件を専門に扱い顧客満足度97.2% 売却方法ごとに査定価格と売却適正期間が比較できる 弁護士への無料法律相談が可能 |
家・不動産買取専門店 法円坂 | 記載なし | 日本全国のハウス・ドゥ | リースバックの取り扱いもある 売却期間に応じて「即時」「1ヶ月程度」「3ヶ月程度」の3段階の価格を提示 底地に強い |
訳あり物件 買取プロ | 記載なし | 日本全国対応 | 最大5億円までスピーディーに買取対応が可能 最短3日で現金化が可能 未接道・狭小地・違法物件もOK LINEで無料相談が可能 |
正しい買取 | 成仏不動産のみ | 日本全国対応可能 ※店舗は一都三県・大阪府・福岡・静岡 | 事故物件の買取に特化 特殊清掃・遺品整理・ゴミ屋敷の残置物撤去も持ち出し0円で可能 相続手続き・税金の無料相談がある 買取後の売り手の責任免除 お祓い・供養等の配慮あり 最短即日で現金化が可能 どんな物件も断らない |
任意売却相談窓口 | 記載なし | 記載なし | 直接面談で30,000円キャッシュバック 24時間・年中無休・無料で相談対応 電話相談対応あり(フリーダイヤル) 住宅ローン返済に困っているケースが得意 任意売却専門業社 |
実家を処分する前に必要な準備
実家の処分方法を解説しましたが、どの方法を選ぶにせよ、売却準備として下記を行っておく必要があります。
それぞれの内容を解説します。
処分を始めてからトラブルが生じるといったことのないよう、しっかり頭に入れておきましょう。
相続登記(名義変更)の確認
実家の処分を行う前に、相続登記が間違いなく行われているかどうかを確認してください。
相続登記とは、土地や建物の名義を、亡くなった方から引き継いだ方(相続人)へ変更する手続のことです。
名義人でない人が、不動産を売却することはできません。
そのため、実家を売却する際には、必ず相続登記(名義変更)が必要です。
相続登記は、法務局で登記事項証明書を取得することで確認できます。
登記事項証明書は、不動産の所有者以外でも取得できるので、名義変更の有無があやふやな人は、早めに確認するようにしましょう。
不用品を処分して空き家にする
実家を売却するためには、中の物を無くして空き家状態にする必要があります。
遺された物を、必要なもの、必要でないものに選別し、不用品は処分しましょう。
不用品の処分は、燃えるゴミ、燃えないゴミに出すほか、粗大ゴミでも出せないものは、廃品回収業者などに依頼しなければいけないケースもあります。
遠方にお住まいだったり、多忙で処分を行えない場合は、遺品整理サービスに依頼するのも一案です。
ただその場合も、ある程度自分で仕分けは行っておかねばなりません。
費用として、約10万から40万円程度※かかることも頭に入れておきましょう。
※遺品整理サービスの価格は作業する部屋の広さや処分量、地域によっても異なります。
また、家具や遺品の中には、思い入れや値打ち品もあるので、ほかに遺品を受け取る親族がいる人は、あらかじめ下記のことを話し合っておくのも重要です。
- 遺品の分配
- 誰が処分および片付けを主体的に行うのか
- 処分しないものは、誰が、どこにとっておくのか
- 処分にかかった費用の支払いは誰がするのか
トラブルを防ぐために、処分を行う人以外が、後から口を出さない約束も取り交わしておきましょう。
チェック!
【仏壇・神棚の処分】
仏壇や神棚の、移動や処分にお困りの方もいるかと思います。
仏壇を移動させる場合は、事前にお寺で魂抜きなどの供養をしてもらってください。
その後、引越し先で改めて供養を行います。
処分する場合は、供養をした後、お寺に引き取ってもらうか、粗大ごみとして処分します。
※供養は宗派ごとに異なります。詳しくは実家の菩提寺に確認してください。
神棚を処分する場合は、祀っているお札を神社に返納してください。
神棚自体は、神社でお焚き上げや祈祷をしてもらった後、自治体の規定に従って、燃えるゴミ、あるいは不燃ゴミとして処分することができます。
隣家との境界を確認する
実家を売却処分するときには隣家との境界を明確にしておくことが必須です。
古い実家は隣家との境界が曖昧になっていることが少なくありません。
境界が不確かなまま売却しようとすると、境界認識の違いによるトラブルを招く可能性があります。
境界は法務局で地積測量図を取得することで、確認できます。
地積測量図とは、隣地境界線や面積などが記された図面のことです。
取得費用は1通450円で、インターネットや郵送での取得も可能です。
参照:法務局|登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面証明書を取得したい方
チェック!
【境界認識の違いによるトラブル】
たとえば、「親からはブロック塀の外側が境界と聞いていたのに、隣家は塀の中心が境界だと主張してきた…」といった、境界認識の違いによるいざこざです。
トラブルが起きると、解決するまで売却が進められません。
場合によっては、土地家屋調査士に依頼して、確定測量を依頼しなくてはいけなくなります。
そうなると、測量に1ヶ月〜3ヶ月の時間をとられる上、約30万円程度※の費用がかかってしまいます。
※費用は土地の広さや状況により変動します。
【ステップ解説】実家を「不動産仲介」で処分する流れ
処分に向けた準備についてご理解いただけたでしょうか。
3章では、実家を「不動産仲介」で処分する流れを解説します。
※不動産買取をご検討される方は、こちらを飛ばして、「【ステップ解説】実家を「不動産買取」で処分する流れ」からご覧ください。
「不動産仲介」の流れは以下の通りです。
順を追ってみていきましょう。
【ステップ1】売却額の査定依頼をする
「不動産仲介」での実家の処分は、まず、不動産会社に売却額の査定依頼をするところからスタートします。
想定している価格があるかもしれませんが、それが相場通りなのか、高いのか安いのか、素人では判断できません。
不動産会社は、周辺や条件の近い取引事例や、実家の状態などを調査した上で、現実に沿った査定額を提示してくれます。
ただ、かならず適正な査定額が提示されるとは限りませんので、1社ではなく複数の会社に依頼するようにしてください。
複数の査定額を比較することで、納得できる価格で売りに出すことができます。
また各会社の査定額の根拠や、販売方法を訊ねることで、信頼性の高い、相性の良い不動産会社を見極めやすくなります。
不動産査定の取っ掛かりとしては、無料で簡単に複数の不動産会社に査定依頼を出せる「不動産一括査定サイト」がおすすめです。
「実家の処分にお悩みなら「不動産一括査定サイト」がおすすめ!」で詳しくご紹介していますので、参考にしてください。
【ステップ2】不動産仲介会社と媒介契約を結ぶ
次に、売却を依頼する仲介会社を選択して、媒介(ばいかい)契約を結びます。
媒介契約とは、家や土地を売却するときに不動産会社と以下について取り決めをすることです。
- 売却活動
- 仲介手数料
媒介契約には、3つの種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
一般媒介 | 複数の仲介会社に売却を依頼する方法。 買主を見つけた会社が売買契約をする。 <契約期間> 指定なし <メリット> 複数と契約できるため選択肢が広がる 自分で買主を見つけた場合は直接売買できる <デメリット> 仲介会社が熱心に営業活動をしない可能性がある 報告義務がないため、状況を把握しづらい |
---|---|
専任媒介 | 1社のみに媒介を依頼する方法。 他の不動産会社が買主を見つけてきた場合、先の仲介会社を通して売買契約をする。 ただし、売主自身が買主を見つけた場合は、仲介会社を通さず直接売買できる。 <契約期間> 最長3ヶ月 <メリット> 仲介会社が一般媒介より積極的に営業活動を行ってくれる 自分で買主を見つけた場合は直接売買できる <デメリット> 1社のみの契約なので、そこを頼るしかなくなる |
専属専任媒介 | 1社のみに媒介を依頼する方法で、専任媒介と違い、売主自身が買主を見つけた場合も、仲介会社を通して契約しなくてはならない。 <契約期間> 最長3ヶ月 <メリット> 仲介会社が積極的に営業活動を行ってくれる 状況報告などが密接に連絡を取り合える安心感がある <デメリット> 自分で買主を見つけても直接売買できない |
気になる費用ですが、仲介手数料は宅地建物取引業法により定められている仲介手数料が上限となるため、どの方法が特に高額ということはありません。
メリットとデメリットを考慮して、ご都合に合った媒介方法を選びましょう。
【ステップ3】仲介会社が売却活動を行う
媒介契約を結んだら、販売開始となり、仲介会社が売却活動を行います。
不動産仲介会社は次のような売却活動を行います。
- レインズ(指定流通機構)※に登録
- 不動産サイトに掲載
- 顧客に紹介
- 住宅情報誌に掲載
- 折込チラシやポスティング
- 希望者が現れた際の内覧の実施
※レインズ:国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、不動産会社間で物件情報を交換するためのネットワークシステム。不動産会社の販売活動では、レインズに物件情報を登録するのが一般的ですが、一般媒介では登録義務がないため行われない可能性もあります。参照:REINS TOWER|公益財団法人 東日本不動産流通機構
上記の売却に向けての活動は不動産仲介会社が行うもので、かかる費用も仲介会社が支払います。
成約後に売り主から支払われる仲介手数料に、こうした費用もすべて含まれるという考え方です。
ただ、売主の希望で、通常行わないような販売活動や広告を実施した場合は、別途費用を請求される可能性がありますので、あらかじめ相談し納得の上で行いましょう。
【ステップ4】売買契約の締結
買主が見つかり交渉がまとまると、いよいよ売買契約となります。
契約を交わす前に、仲介会社は買主に対して重要事項説明を行います。
【重要事項説明とは】
物件の物理的状態・権利の状況や取引条件などの重要事項を、宅地建物取引士が買主(借主)に詳しく説明することで、宅地建物取引業法で義務付けられています。
重要事項説明では、下記の事項を詳細に説明する必要があります。
- 不動産の権利関係
- 不動産の法律的な制限(都市計画法、建築基準法など)
- 不動産の属性(水道・下水・電気・ガスの整備状況、災害指定区域、耐震性、設備の状況など)
- 売買代金の支払い条件
- 解約時の規定
※2020年以降、水害ハザードマップの提示と説明が義務化され、災害に関する情報開示も重要な説明事項の1つとなっています。
重要事項説明後、売買契約を締結します。
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【手付金の受け取り】
契約成立時に、売主は買主から手付金を受け取るのが恒例です。
手付金の金額に決まりはありませんが、一般的には売買価格の5%〜10%です。
この手付金は、買主側は手付金を放棄、売主側は手付金の倍額を買主に償還することにより、契約を解除することができるという法律上の「解約手付」にあたります。
【ステップ5】引き渡し
契約締結後、決済※を経て、引き渡しが行われます。
※決済:買主が売主に売買代金(残代金全額)を支払うこと。
売主は引き渡しまでに、所有権移転登記※に必要な下記の書類を準備しておく必要があります。
- 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書※所有権移転登記:土地や建物の所有権が移ったことを明確にするために行う登記。登記自体は買主が主体となって行う。
他にも状況に応じて必要な書類があるので、早めに仲介会社に確認しておきましょう。
また引渡し時には、家の中をきれいにして買主が引っ越しできる状態にしておかねばなりません。
契約当事者間で取り決めた期日までに明け渡しができない場合、契約不履行となってしまうため注意しましょう。
契約締結から引き渡しまでの期間は、一般的に1〜2ヶ月ほどです。
チェック!
【仲介手数料の支払い】
売買契約成立後、【ステップ4】売買契約の締結、【ステップ5】引き渡しの、いずれかの時点で、仲介会社に仲介手数料を支払います。
支払いのタイミングは、売買契約時に一括支払い、引渡し時に一括支払い、契約時と引渡し時に半額ずつなどのパターンがあるため、媒介契約時に取り決めをしておくと良いでしょう。
【ステップ解説】実家を「不動産買取」で処分する流れ
できるだけ早く実家を処分したい方、実家が老朽化して売却が難しそうな物件だという方には、「不動産買取」がおすすめです。
4章では、実家を「不動産買取」で処分する流れを解説します。
不動産買取では買主を探す必要がないため、仲介に比べるとシンプルな流れになります。
順に把握していきましょう。
【ステップ1】買取査定を受ける
「不動産買取」での実家の処分も、仲介と同様に、不動産会社に家の査定依頼をするところからスタートします。
ただし、どの不動産会社でも買取を請け負っているとは限りません。
買取対応をしている不動産会社を見つけて、買取査定を受けてください。
買取査定には、「机上査定」「訪問査定」の2種類があります。
【机上査定】
築年数や間取り、住所、類似物件の相場などの情報を元に査定額を算出する方法。
現地調査を行わないため、簡易査定とも呼ばれる。
【訪問査定】
現地調査を行い、土地や建物の状態、周辺環境も確認した上で、査定額を出す方法。
より正確で相場に近い結果がわかる。
最終的には訪問査定が必要になりますが、まずは、複数の会社に机上査定を依頼しておおよその査定額を出してもらい、査定額を比較することをおすすめします。
査定額は、各会社の再販方針によって大きく異なる場合があるため、机上査定の見積もり結果から、訪問査定を受ける会社を2〜3社選ぶと良い判断ができます。
不動産査定の取っ掛かりとして、無料で簡単に複数の不動産会社に査定依頼を出せる「不動産一括査定サイト」があります。
実家の価値を正しく判断できるよう、「実家の処分にお悩みなら「不動産一括査定サイト」がおすすめ!」を参考に、便利なサイトを試してみましょう。
【ステップ2】買取会社を選ぶ
訪問査定の結果を考慮して、査定依頼をした不動産買取会社の中から取引を行う会社を選びます。
買取会社を選ぶ際、留意するポイントは2つです。
①買取実績のある会社なのかどうか
買取実績は、各社ホームページ記載の買取件数や利用者からの評価を元に判断できます。
買取件数・ユーザーレビューなどを参考にすると良いでしょう。
ホームページがない会社は、基盤が整っていない可能性があるためおすすめできません。
②提示された買取額が納得できる額であるかどうか
あらかじめ調査した相場を元に、査定額の納得感に注視してください。
明らかに高額な査定額を提示した会社にはすぐ飛びつかず、なぜその額なのか訊ねるなり、調査するなりして、納得できるかどうかを確認した方がよいでしょう。
買取では査定価格=売却価格になります。
他とのバランスも考慮した上で、査定額の相場から大きく離れない額の、実績ある会社を選ぶことが、実家売却の成功につながります。
【ステップ3】引き渡しの条件の確認
取引する会社が決まったら、物件(実家)の引き渡し条件を確認します。
具体的には下記のような事項です。
- 買取額
- 入金日
- 引き渡しのスケジュール
- 必要書類の確認や提出について
- 家具の処分やリフォームについて
買取後のリフォームは買主が負担するのが通例ですが、確認作業を曖昧にしてしまうと、残った家具の処分やリフォームの費用を後に請求されるケースがあるので注意してください。
また、入金日をしっかり確認しておくことも重要です。
思い違いから、あてにしている期日までに入金されないといったトラブルが少なくありません。
ほかにも、細かな確認事項を余さず提示して、約束を取り交わしておきましょう。
【ステップ4】売買契約を締結・手付金の受け取り
条件確認や必要書類の確認などをすべて終わったら、売買契約の締結です。
締結の際は、契約書や契約約款を読み上げ、契約内容の最終確認をします。
その後、契約書へ署名、押印を行い契約書が完成します。
ここで、売主は買取会社から手付金を受け取るのが通例です。
手付金の金額に決まりはありませんが、一般的には売買価格の5%〜10%です。
チェック!
【締結後の流れ】
取り決めた決済日に不動産会社から残金を受け取り、司法書士によって所有権移転登記の手続きが行われます。
その後、実家の鍵を買取会社に引き渡したら、買取手続きは終了です。
実家の処分にかかる「費用」を解説
「仲介」と「買取」の流れを解説しましたが、実家の処分では売却収入だけでなく、支出が発生します。
実家の処分にかかる費用は、大まかに「処分までにかかる費用」「処分にかかる費用」に分けられます。
処分までにかかる費用 | 固定資産税 維持管理費用 相続登記費用(名義変更費用) 不用品の処分費用 |
---|---|
処分にかかる費用 | 仲介手数料(仲介の場合) 印紙税 譲渡所得税 |
それぞれ解説します。
しっかり把握しておきましょう。
処分までにかかる費用
実家の処分までに発生する費用は、以下の通りです。
【所有期間中】(年額) | |
---|---|
固定資産税 | 約10万円〜15万円 |
都市計画税 | 約3万円〜5万円 |
火災保険 | 約1万円〜2万円 |
光熱費(契約を継続している場合) | 約1万円〜2万円 |
【売却準備期間中】 | |
相続登記費用(名義変更費用) | 固定資産税評価額×0.4%(登録免許税) 1,000円程度(書類取得費用) |
不用品の処分費用 | 約10万円〜30万円 |
具体的に説明します。
所有期間中に発生する費用
固定資産税 | 約10万円〜15万円 |
---|---|
都市計画税 | 約3万円〜5万円 |
火災保険 | 約1万円〜2万円 |
光熱費(契約を継続している場合) | 約1万円〜2万円 |
※費用は2,000万〜4,000万円の土地付き一戸建てにおける平均的な価格(目安)です。
※固定資産税は毎年1月1日時点の不動産の所有者(名義人)に課税されます。築年数や建物(土地)の評価額によって額は異なりますので、こちらは目安として参考にしてください。
※都市計画税は、すべての地域に発生するものではありません。土地区画整理事業の費用に充てられるもので、原則として市街化区域内に所在する土地及び家屋に対して課税します。(参照:総務省|都市計画税)
空き家になった実家は、処分するまでの間、保有しているだけで上記のような費用が発生し続けます。
またこれ以外に、維持管理が自分でできない場合は、管理サービスなどに依頼する費用もかかります。
空き家は手入れせずに放置しておくと老朽化が進んでしまいます。
劣化するのに比例して資産価値が下がるため、良い条件で処分するためには、風を入れたり、掃除をするなどの維持管理は必須です。
ただ、遠方にお住まいだったり、多忙だったりする場合は、定期的な管理は難しいでしょう。
管理サービスに依頼する費用は、月額数千円〜1万円ほどです。
これを含めると、実家の所有期間中に発生する費用は、目安として、年額で約17万円〜35万円ほどになります。
相続登記費用(名義変更費用)
相続登記費用(名義変更費用) | 固定資産税評価額×0.4%(登録免許税) 1,000円程度(書類取得費用) |
---|
実家の処分までに、法務局で相続登記(名義変更)を済ませなければなりません。
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%相当の金額です。
これに加えて、書類取得費用として1,000円程度※かかります。
※書類の取得手数料は自治体によって異なります。
ただ、相続登記は煩雑であるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
この場合、司法書士の報酬として、約6万円〜10万円程度※を見積もっておかねばなりません。
※司法書士の報酬には決まった基準がありません。こちらは相場ですので、依頼の時点で費用を確認してください。
参照:法務局:相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)
不用品の処分費用
不用品の処分費用 | 約10万円〜40万円 |
---|
実家の処分までに、「不用品を処分して空き家にする」で先述したように、中にある不用品を処分しておかなくてはなりません。
一定程度自分で整理したとしても、大きな家具や不用品の処分は専門業者に依頼することがほとんどです。
業者に依頼する費用は、回収する不用品の量と、作業にあたる人数や時間、地域でも異なりますが、約10万円から40万円程度です。
参照:総務省行政評価局(令和2年3月):遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書
処分にかかる費用
実家の処分で発生する費用は、以下の通りです。
【処分(売却手続)にかかる費用】 | |
---|---|
仲介手数料(売却価格が400万円以上の場合) | (売却価格×3%+6万円)+消費税 |
印紙税(契約価格が500万円以上1千万円以下の場合) | 5,000円〜1万円 |
譲渡所得税(所有期間が5年以上の場合) | 課税譲渡所得金額の20% ※ |
※課税譲渡所得金額=譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額(一定の場合)
【取得費】売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や仲介手数料などの合計額
【譲渡費用】「仲介手数料など土地や建物を売るために要した費用」「貸家の売却に際して支払った立退料」等
【特別控除額】収用等では最高5,000万円・自分の住んでいる家屋と土地を売ったときは最高3,000万円
それぞれ解説します。
仲介手数料
実家を「不動産仲介」で処分する場合、仲介手数料がかかります。
仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、売却価格に応じた上限金額が法律(宅地建物取引業法)で決まっています。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | (売却価格×5%)+消費税 |
200万円超~400万円以下 | (売却価格×4%+2万円)+消費税 |
400万円超〜 | (売却価格×3%+6万円)+消費税 |
大抵は上限額が設定されるため、たとえば売却価格が1,000万円だった場合の仲介手数料は、以下のようになります。
【1,000万円(売却価格)✕ 3%+6万円】+消費税10% = 396,000円
参照:宅地建物取引業者の報酬額(建設省告示第1552号)令和元年8月30日改正(国土交通省告示第493号)
印紙税
印紙税(契約価格が500万円以上1千万円以下の場合) | 5,000円〜1万円 |
---|
売買契約書を作成する際、印紙税法に基づいた金額の印紙を貼る必要があります。
印紙税額は契約金額によって、下記のように変動します。
ただし、平成26年4月1日〜令和6年3月31日までの期間は、軽減税率※が適用されます。
※軽減税率:標準税率よりも低い税率を適用する措置
仮に1,000万円で契約した場合、現状、軽減税率を考慮した5,000円が印紙税額です。
譲渡所得税
譲渡所得税(所有期間が5年以上の場合) | 課税譲渡所得金額の20% ※ |
---|
※課税譲渡所得金額=譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額(一定の場合)
【取得費】売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や仲介手数料などの合計額
【譲渡費用】「仲介手数料など土地や建物を売るために要した費用」「貸家の売却に際して支払った立退料」等
【特別控除額】収用等では最高5,000万円・自分の住んでいる家屋と土地を売ったときは最高3,000万円
実家を処分して利益を得た場合、課税譲渡所得金額に応じて譲渡所得税(所得税と住民税)が発生します。
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間※によって決まります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 9% | 39% |
5年以上 | 15% | 5% | 20% |
※所有期間は、親(被相続人)の所有期間を引き継ぎます
譲渡所得税率は所有期間で変わり、5年以内の「短期譲渡所得」は39%、5年超の「長期譲渡所得」は20%です。
たとえば、5年以上所有した家の課税譲渡所得金額が1,000万円だったとすると、200万円の譲渡所得税が発生します。
1,000万円(課税譲渡所得金額)✕ 20% = 200万円
※確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。
譲渡所得税は売却した翌年の確定申告で確定します。
処分にかかる費用として、頭に入れておきましょう。
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まとめ
状況別の、実家の処分方法のおすすめは以下の通りです。
処分の方法 | おすすめするケース |
---|---|
自分で売却する | ✓ 実家を欲しがっている人が既に現れている |
不動産会社に 売却仲介をしてもらう | ✓ 実家は売れる見込みのある状態(条件)である ✓ 実家をできるだけ高額で売却したい ✓ 専門家に任せて取引できるなら、多少時間がかかっても構わない |
不動産会社に 買取を依頼する | ✓ できるだけ早く実家を処分したい ✓ 実家は老朽化して売却が難しそうな物件である ✓ 売却価格が多少抑えられても早めに現金化したい |
処分が決まったら、前もって下記の事項を行っておく必要があります。
- 相続登記(名義変更)の確認
- 不用品を処分して空き家にする
- 隣家との境界を確認する
実家を処分すれば売却金が手に入りますが、一方でさまざまな費用がかかります。
本文の説明をよく読んで、かかる支出も心に留めておきましょう。
この記事が、実家の処分に関するお悩みの解消に少しでも役立てば幸いです。
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
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