店舗売却する方法｜居抜き以外の選択肢や基本的な流れ、売却サイトを選ぶ際のポイントを紹介

「お店を譲りたい…」
「飲食店の経営権を譲渡したいな…」

店舗を売却するには、主に3つの方法があり、それぞれに特徴やメリットが異なります。

そのため、店舗売却を成功させるには、自分に合った方法を見極めることが重要です。

さらに、店舗売却をスムーズに進めるには、売却の基本的な流れや注意点などを、押さえておく必要があります。

この記事では、店舗売却初心者に向けて、店舗を売却するときの方法やおすすめのケース・手続きの流れ・売却先を選ぶポイントなどの、必須の基礎知識を解説します。

後半では、店舗を売却するときのよくある失敗と対策についてもご紹介していますので、実践に即した知識を身に付けたい方は、必ずご一読ください。

今回ご紹介する内容をひととおり確認しておけば、店舗の売却について基礎知識を身に付け、具体的に売却に向けて動き始められるようになります。

重要なポイントをもれなく確実に身に付け、大切な店舗を、トラブルなくスムーズに売却しましょう。

店舗売却について解説している以下の動画も参考にしてください。
※赤字店舗を高額で売却！飲食店舗の閉店、撤退の手続きをする前にすべきこととは

不動産売却にかかる費用・税金や売却の流れ！査定やトラブルにならないための知識！

【初心者必見】不動産売却で後悔しないための注意点12個を契約段階別に紹介

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店舗を売却する3つの方法

店舗を売却するには、いくつかの方法があります。

ここでは、代表的な3つの方法である、居抜き・M＆A・スケルトンについて、概要を確認しておきましょう。

店舗を売却する3つの方法
居抜き	・内装や設備をそのままにして売る ・解体費用を抑え、高い売却益を得たいときにおすすめ
M＆A	・事業譲渡のことで、ノウハウや商号・ブランド、取引先などもあわせて売る ・自身ではその事業を継続しない場合や、後継者に引き継ぎたいときにおすすめ
スケルトン	・内装や設備は別途売却し、物件のみを売る ・業態を選ばず、広く売却先を選びたいときにおすすめ

それぞれの概要や利点、おすすめのケースなどを、もう少し詳しく解説します。

最適な売却方法選びの参考にしてください。

店舗売却の方法1.「居抜き」

居抜きとは、店舗の内装や設備を解体せず、そのままの状態で売却する方法のことです。

例えば、飲食店であれば、厨房の設備一式や調理器具・店内のテーブルや内装なども、そのままの状態で売却します。

売り手側は、設備・内装の運び出しや解体にかかる費用を抑えることができます。

一方、買い手側は、購入したらそのまま初期費用を抑えて営業を始めることができ、売主と買主の双方に利点のある売却方法です。

そのため、近年では、設備が必要な飲食店などを中心に、居抜きで売買する場合が一般的になっています。

そのメリットや注意点、おすすめのケースなどは、以下のとおりです。

【売却方法①】居抜きの基本情報
メリット	・解体費用がかからない ・内装や設備がそのままの状態で購入したいというニーズもあるので、売却益が高くなる場合がある
注意点	・内装や設備などがそのままなので、売却先の業種が限定されてしまう
おすすめのケース	・解体費など、店舗を引き払うにあたって発生する費用を抑えたい場合
相場	・店舗の立地や状態にもよるが、10～15坪程度で100万円～250万円程度

出費を抑えられるのは大きな利点なので、特にこだわりがなければ、居抜きでの売却を優先して検討してみるとよいでしょう。

店舗を売却する業者を選ぶときのポイントについては、「店舗の売却を依頼する仲介業者を選ぶポイント2つ」でご紹介しています。あわせてご確認ください。

店舗売却の方法2.「M＆A」

M＆Aとは事業譲渡のことで、ノウハウや商号・ブランド、取引先なども、あわせて売る方法のことです。

自分自身では、その店舗で行っていた業態や事業をやめてしまう場合や、後継者に引き継ぎたいときには、M＆Aが適しています。

売り手としては、ブランド力などの無形財産を今後の資金に変えられ、買い手側は、ノウハウや既存顧客を引き継ぎ速やかに収益化をはかれるのが利点です。

M＆Aに関するその他の基本情報を、まとめて確認しておきましょう。

【売却方法②】M＆Aの基本情報
メリット	・ノウハウや店舗のブランド力まで、まとめて売却益に変えられる ・売却するその日まで営業を続けることが可能
注意点	・売却の条件が折り合わないと、契約締結までに時間がかかってしまう
おすすめのケース	・その店舗で行っていた業態や事業をやめてしまう場合 ・後継者に事業を引き継ぎたいとき ・ブランド力の高い店舗である場合
相場	・譲渡する資産の時価から譲渡する負債の時価を差し引き、営業利益または経常利益の1から5年分を足した価格

店舗売却の方法3.スケルトン

スケルトンとは、内装や設備は解体して別途売却し、物件のみを売る方法のことです。

居抜きとは反対に、すべての造作を取り払うので、解体費用や運び出しの費用などが発生します。

解体費は、1坪あたり15,000円から40,000円程度が相場です。

造作を取り払う分の費用は発生しますが、業態を選ばず、広く売却先を選ぶことができます。

買い手側にとっても、自分好みのデザインの内装や設備を自由に作れるのがメリットです。

【売却方法③】スケルトン
メリット	・売却先の業種が限定されないので、買い手を見つけやすくなる
注意点	・解体費用などが発生 ・解体費は、1坪あたり15,000円～40,000円程度が相場
おすすめのケース	・業態を選ばず、広く売却先を選びたいとき ・人気の高いエリアの物件ではない場合
相場	・店舗の立地や状態による

居抜きで売却するのが難しそうな場合や、元々の店舗と同じ業態に限らず、広く売却先を探したい場合などは、スケルトンでの売却を検討しましょう。

店舗を売却するときの基本的な流れ

店舗を売却するときは、基本的に、以下のような流れで進めるとスムーズです。

店舗を売却するときの流れ
ステップ①	仲介業者と打ち合わせ ※所要時間の目安は1時間から数時間程度
ステップ②	現地で査定
ステップ③	売却活動 ※所要期間の目安は、1ヶ月から3ヶ月程度
ステップ④	売買契約を結び引き渡し ※売却相手が決まってから契約するまでの所要期間の目安は1ヶ月程度 ※決済にかかる所要時間の目安は、1時間程度

それでは、各ステップでどういうところに気を付けるべきなのか、どのような作業に時間を割く必要があるのかなど、実践のポイントを見ていきましょう。

【ステップ①】仲介業者と打ち合わせ

店舗の売却を成功させるには、売却を仲介する業者と、物件の状況や売却目的などについて、打ち合わせを行いましょう。

売却の目的などに応じて、適した売却の戦略や対象が変わるからです。

売却活動を始める前に具体的な戦略やスケジュールを立てておくことが、希望する時期に望んだ価格でスムーズに売却する近道となります。

打ち合わせに向けて、具体的には、次のような内容について情報を整理しておくとよいでしょう。

なお、店舗売却のパートナーとなる仲介業者の選び方については、特に重要なポイントですので、次章「店舗の売却を依頼する仲介業者を選ぶポイント2つ」で改めて解説します。

あわせて、ご確認ください。

【ステップ②】現地で査定

売却する店舗に関する打ち合わせが終わったら、現地に赴き、仲介業者の査定を受けましょう。

エリアや店舗の雰囲気・内部の現状などは、現地で確認しておかないと正確には把握できないからです。

店舗や周辺エリアの状況が正確に把握できれば、適切な売却価格が設定できるので、速やかに妥当な価格で売りやすくなります。

さらに、事前に周辺の競合となる物件の価格の相場などを調査しておくと、さらに有利に売却活動を進めやすくなるでしょう。

競合物件の状況は、不動産サイトで調べることができます。

インターネット上で「店舗　物件　〇〇（エリア名）」などのキーワードで検索してみましょう。

【ステップ③】売却活動

打ち合わせと査定が終わったら、店舗の売却活動に入ります。

このステップでは、基本的に仲介業者が業務を行いますが、売主側も、内見の対応や広告・価格設定に関する確認などの対応が必要な場合があります。

売却をスムーズに進める上で重要なファクターである内見対応については、以下のようなポイントを押さえると効果的です。

【ステップ④】売買契約を結び引き渡し

売却活動の成果が実り買い手が見つかったら、売買契約書を締結し、物件を引き渡しましょう。

契約書の作成などは、仲介業者が担当します。

ただし、居抜きなどで設備や内装を物件とセットで引き渡す場合は、現在の状態などを確認し、リストを作りましょう。

設備などに不備があるのを認識していながら、うっかり伝え忘れると、売却後に契約の解除や売買代金の減額請求といったトラブルに発展するリスクがあります。

確実に、確認しておきましょう。

店舗の売却を依頼する仲介業者を選ぶポイント2つ

店舗を売却する際の強力なパートナーとなる仲介業者選びは、売却の成否をわける重要なポイントです。

ここでは、売却活動を有利に進められる仲介業者を選ぶために、押さえるべきポイント2つをご紹介します。

ポイントをどのように実践していけばよいのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

業種に合った業者を選ぶ

店舗売却するときの仲介業者は、売却物件の業種について、取り扱い実績が多い仲介業者を選びましょう。

店舗には、飲食店やエステ・アパレルなどさまざまな業種があり、業種に応じて売り方や売却対象が変わるからです。

仲介業者の得意な業種は、公式サイトなどを確認したり、担当者に確認したりすることでわかります。

また、仲介業者をインターネット上で検索する段階で、「店舗売却　仲介業者　飲食業」などのように、業種名をキーワードに入れて検索するのもよいでしょう。

いずれにせよ「店舗売却を請け負っているなら、どこの業者も同じだろう」などと軽く考えず、自分の売りたい店舗の業種について、少しでも実績の多い業者を探すことが大切です。

3社以上の業者を比較して選ぶ

仲介業者選びをするときは、複数社、具体的には3社以上を比較して選びましょう。

複数社を比較してみることで、各社の強みやサービス内容の良し悪し、自分の店舗との相性のよさなどがわかるようになるからです。

特に店舗売却が初めての場合、仲介業者を選ぶといわれても、どう選んでよいか悩ましいでしょう。

そのような場合は、とにかく3社以上の仲介業者のサービス内容や見積もりなどを見比べ、もっとも納得のいく内容だった業者を選ぶと、自分に最適な業者を選べる可能性が高くなります。

店舗売却時は何かと忙しく、1社目で決めてしまいがちですが、その後の売却活動をスムーズに進めるなら、3社は比較してから決めるのがおすすめです。

店舗を売却するときのよくある失敗と対策

店舗を売却するときに、やりがちな失敗として、代表的なものが2つあります。

それぞれ、どのような失敗で、どういう対策が効果的なのかを確認し、同じような失敗をしないようにしましょう。

【よくある失敗①】リース・レンタル品を売買契約に含めてしまった

店舗の売却でよくある失敗の1つ目が、リース・レンタル品である設備や備品を、売買契約に含めてしまうという失敗です。

設備や什器などは、リースやレンタルを利用したほうがコストパフォーマンスが高い場合も多く、店舗ではよく利用されます。

しかし、リース・レンタル契約をするタイミングでは覚えていても、日々利用する中で、どれが自分の所有しているものでどれがリース品なのかわからなくなってしまうものです。

自己所有であると勘違いして売却してしまっては、契約違反になってしまいます。

売却前に、必ずリース契約書を確認しましょう。

【よくある失敗②】引き渡すまでの期間に設備や内装に傷みが出てしまった

売買契約を交わした後に、引き渡す予定の設備や内装に傷みが出てしまったという失敗も、ありがちなリスクです。

売買契約書にサインをしても、引き渡すまでは、設備などを管理する責任は売主側にあります。

もう売却が決まったからと、ずさんな管理をして不備が出たり、買い手の営業開始に支障が出たりしてしまっては、賠償責任ものです。

売買契約が成立しても、引き渡すまでは、気を抜かないようにしましょう。

まとめ

店舗を売却するには、いくつかの方法があります。代表的方法は、居抜き・M＆A・スケルトンの3つです。

店舗を売却する3つの方法
居抜き	・内装や設備をそのままにして売る ・解体費用を抑え、高い売却益を得たいときにおすすめ
M＆A	・事業譲渡のことで、ノウハウや商号・ブランド、取引先などもあわせて売る ・自身ではその事業を継続しない場合や、後継者に引き継ぎたいときにおすすめ
スケルトン	・内装や設備は別途売却し、物件のみを売る ・業態を選ばず、広く売却先を選びたいときにおすすめ

それぞれの概要や利点をきちんと把握し、自分に合った売り方を選びましょう。

店舗を売却するときは、基本的に、以下のような流れで進めるとスムーズです。

店舗を売却するときの流れ
ステップ①	仲介業者と打ち合わせ
ステップ②	現地で査定
ステップ③	売却活動
ステップ④	売買契約を結び引き渡し

店舗を売却する際の強力なパートナーとなる仲介業者選びは、売却の成否をわける重要なポイントです。ここでは、売却活動を有利に進められる仲介業者を選ぶために、次の2つを押さえましょう。

店舗を売却するときに、やりがちな失敗として、代表的なものが2つあります。

事前にきちんとチェックしたり、ちょっとしたことを心がけたりすることで、上記の失敗は防げます。他人事として考えず、十分に注意しましょう。

店舗売却は、住まいの売買と比べると、特殊な面があります。

しかし、ポイントを押さえて取り組むことで、手間を抑えて、希望どおりの売却をすることも可能です。

納得のいく店舗売却実現のため、今回ご紹介した内容をお役立てください。