この記事では、家を売るための完全ガイドとして、下記の内容を記載しております。
また、家を売るときによくある質問として
「家を売るならどこがいい?」
「古い家を売ることもできる?」
「相続した家を売る場合はどうしたらいい?」
「ローン中の家を売ることもできる?」
「家を高く売るにはどうすればいい?」
といった内容の質問にも回答しています。
「家を売るには、どうすればいい?」
という方に結論からお伝えすると、以下が基本の手順です。
損せずに、できるだけ良好な条件で家を売るためには、事前に全体の流れを理解すること、および注意点を先に把握しておくことが重要です。
知識があれば、トラブルや損失を回避して、満足できる売却を実現できるでしょう。
この記事では、家を売るときに知っておきたい基礎知識から注意事項まで、わかりやすく解説します。
「初めて自宅売却をする」という方が、安心して手続きを進められるようになれば幸いです。
ご紹介したニュースにもある通り、家を売る時に大切なことは自分に合った不動産仲介業社を選ぶことが大切です。
不動産仲介業者選びは、無料の不動産一括査定サイトを通じて各社を比較・検討して行うことが失敗のない自宅売却につながります。
以下に不動産一括査定サイトの一覧と詳細をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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上記の中からあなたのニーズに合う不動産一括査定サイトを選んでチェックしてみましょう。
不動産一括査定サイトの評判を確認したい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。
宅地建物取引士・一級建築施工管理技士の資格を持つ方が「家を売る」方法について解説している動画も参考にしてください。
※【不動産売却】あなたの家は売り方次第で高く売れる!
家を売る方法は大きく2種類
家を売る方法には、大きく2つの方法があります。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
メリット | 相場通りの価格で売れる傾向にある 専門知識が不要で売れる 交渉サポートまで携わってくれる | 早く売却できる ほぼ確実に売却できる プロセスが簡単 リフォームや修繕が不要な場合が多い |
デメリット | 家が売れるまでに時間がかかる 仲介手数料が発生する | 相場よりも低い金額で売却することになる 業者が少ないため比較検討が難しい 買取価格の透明性 |
家を売る方法1.「仲介」
メリット | デメリット |
---|---|
相場通りの価格で売れる傾向にある 専門知識が不要で売れる 交渉サポートまで携わってくれる | 早く売却できる 仲介手数料が発生する |
家を売る方法1つ目は「仲介」です。
仲介とは、売主であるあなたが、不動産会社に依頼し、買主を探してもらうことを意味しています。
仲介では、家を売るためのプロ集団が携わるため、専門的な知識を持たなくても、相場価格で販売してくれます。
仲介の場合だと、家を売るまでの時間が長くなる傾向にあることを抑えておきましょう。
家を売る方法2.「買取」
メリット | デメリット |
---|---|
早く売却できる ほぼ確実に売却できる プロセスが簡単 リフォームや修繕が不要な場合が多い | 相場よりも低い金額で売却することになる 業者が少ないため比較検討が難しい 買取価格の透明性 |
家を売る方法2つ目は「買取」です。
買取では、不動産仲介とは違い、不動産会社が買主になってくれるため、仲介に比べて早く取引が成立します。
その一方で、不動産仲介よりも家を売る相場は低くなるため、希望通りの価格で売却できるケースは少なくなります。
家を売るときの相場
家を売るときの相場は、築年数によって大きく売却価格の相場が変わります。
築年数別の売却相場は次の表の通りです。
【築年数別での一戸建ての売却価格の相場】
築年数 | 下落率 | 購入時の価格 | |||
---|---|---|---|---|---|
築5年以内 | 0% | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
築5~10年未満 | 10% | 1800万円 | 2700万円 | 3600万円 | 4500万円 |
築10~15年未満 | 21% | 1580万円 | 2370万円 | 3160万円 | 3950万円 |
築15~20年未満 | 34% | 1320万円 | 1980万円 | 2640万円 | 3300万円 |
築20~25年未満 | 41% | 1180万円 | 1770万円 | 2360万円 | 2950万円 |
築25~30年未満 | 46% | 1080万円 | 1620万円 | 2160万円 | 2700万円 |
築30年~ | 67% | 660万円 | 990万円 | 1320万円 | 1650万円 |
【築年数別でのマンションの売却価格の相場】
築年数 | 下落率 | 購入時の価格 | |||
---|---|---|---|---|---|
築5年以内 | 0% | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
築5~10年未満 | 7% | 1860万円 | 2790万円 | 3720万円 | 4650万円 |
築10~15年未満 | 12% | 1760万円 | 2640万円 | 3520万円 | 4400万円 |
築15~20年未満 | 26% | 1480万円 | 2220万円 | 2960万円 | 3700万円 |
築20~25年未満 | 32% | 1360万円 | 2040万円 | 2720万円 | 3400万円 |
築25~30年未満 | 46% | 1080万円 | 1620万円 | 2160万円 | 2700万円 |
築30年~ | 54% | 920万円 | 1380万円 | 1840万円 | 2300万円 |
※築5年以内はデータ上下落率0%になっていますが、実際は価格が新築時よりも下落します。
家を売るときの相場は上記の「築年数」と「エリア」が大きく影響しています。
国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の情報によると、築年数20年で建物の価値はほぼゼロになると言われています。
そのため、20年以上を過ぎている場合は「エリア」の相場が重要視される傾向にあります。
不動産売却マイスターでは、築年数別の家を売るときの相場やエリア別の家を売るときの相場をまとめていますので、相場を知りたい方はぜひご覧ください。
具体的に、自分の家がどのくらいの相場なのかを把握したい方は家の売却価格の相場を調べる方法を参考にしてみてください。
家を売るタイミング
当たり前ですが、家を売るタイミングですが、築年数が少なければ少ないほど高く売れる傾向にあります。
そのほかの家を売るタイミングに関して、以下の要素が重要と言われています。
- 築年数
- リセールバリュー
- 大規模開発
- 税金
このタイミングに関しては家を売るタイミングを決める要素4つで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
家を売るための基本的な手順 8ステップ
冒頭でも触れたとおり、家を売るための基本的な手順は、次の8ステップになります。
それぞれのステップで注意したいポイントも含めて、以下で詳しく解説します。
現状把握
家を売るためのステップ1は「現状把握」です。
【ポイント】
- 売却価格や時期などの希望条件を整理する
- 物件の相場を把握する
- 売却する住宅の状態を事前にチェックする
希望条件と相場の把握
まずは「いつまでに、どの程度の金額で売却したいのか?」という希望を整理しておきましょう。
ほかにも、希望条件があれば、リストアップしておきます。その際、現実的な検討をするために、相場を把握しておくことが役立ちます。
以下のサイトで、類似物件の相場を確認しておきましょう。
【相場を知るために役立つサイト】
- 土地総合情報システム:国土交通省が提供するサイトで、不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索して確認できます。
- レインズマーケットインフォメーション:不動産会社のネットワークシステムを使って実際に売買が行われた物件の価格(成約価格)などの取引情報を検索できます。
- 不動産ジャパン「相場・取引動向」:相場を調べるためのさまざまなデータがリストアップされているページです。
物件チェック
売却する住宅の権利関係や敷地などの物件チェックも、並行して進めます。
【物件チェックの内容】
種類 | 目的 |
---|---|
1. 土地・建物の権利関係及び履歴並びに住環境 | 土地や建物の権利関係、売買に際し必要な書類、土地や建物の履歴、周辺の住環境等の確認 |
2. 敷地関係 | 敷地の境界、塀等の帰属、埋設物・配管、接道条件等の法令制限の確認 |
3. 建物等関係 | 雨漏り、シロアリ被害、木部等の腐食、給水・配水管からの漏水・赤水等の確認 |
4. 設備・工作物関係 | 引渡しを行う設備・工作物等とその状態の確認 |
「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」に掲載されている「物件チェックリスト」を活用すると、便利です。
【物件チェックリスト】
査定依頼
家を売るためのステップ2は「査定依頼」です。
【ポイント】
- 複数の不動産会社に査定依頼をして結果を比較する
- 好印象だった不動産会社を選んで詳細の査定を依頼する
- 査定のやり取りを通じて信頼できる不動産会社を見極める
複数の会社に依頼
いくつかの不動産会社に査定を依頼して、売却を検討している家が、どの程度の金額で売れそうか見積もりを出してもらいます。
査定は、金額を算出してもらうだけでなく、不動産会社とのコミュニケーションを通じて、どの会社に仲介を依頼するか検討する重要な意味もあります。
一社だけではなく、複数の会社に依頼して、比較検討することが大切です。
一括査定サイトが便利
不動産一括査定サイトを利用すると、複数の会社に個別に依頼する手間が省けるので、便利です。
※査定の詳細は「不動産査定とは?手順と適正額の判断基準・不利にならないためのコツ」をご覧ください。
媒介契約
家を売るためのステップ3は「媒介契約」です。
【ポイント】
- 適切な媒介契約の種類を選ぶ
- 契約の内容を十分に確認する(とくに仲介手数料について)
媒介契約の種類
仲介を依頼したい不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。
媒介契約には、以下の3つの種類があるので、適切な契約を選ぶことが重要です。
【媒介契約の種類】
種類 | 特徴 |
---|---|
専属専任媒介契約 | 依頼できるのは1社だけです。 売主自らが買主を見つけたときでも、 依頼した媒介業者を介して契約しなければなりません。レインズ(※)への登録義務、1週間に1 回以上の販売状況の報告義務があります。 |
専任媒介契約 | 依頼できるのは 1 社だけでレインズへの登録義務があるのは専属専任媒介契約と同じです。売主自らが買主を見つけたときは直接契約することもできます。 2 週間に1 回以上の販売状況の報告義務があります。 |
一般媒介契約 | 複数の業者に依頼することができます。 売主自らが買主を見つけたときは直接契約することができます。レインズへの登録義務はありません。 |
※レインズ:国土交通大臣の指定を受けた指定流通機構が運営しているネットワークシステム。宅地建物取引業者は専属専任媒介契約・専任媒介契約の締結時と売買等の契約成立時には、取引価格等を登録・通知することを義務づけられている。
簡単にいうと、売主にとっての制限が強くなるほど、不動産会社の注力度が上がる関係になっています。
どの契約形態が最適かは、それぞれの状況や希望によって異なるものの、最もおすすめを挙げるなら「専属専任媒介契約」です。
多数の不動産会社と契約できる「一般媒介契約」では、不動産会社の注力度が下がるため、好条件での売却が難しくなります。
不動産会社の立場から見ると、注力しても途中で他社に売買契約を獲られるリスクがあるため、うまみの少ない案件となります。
「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の違いは、自分で見つけた買主と直接契約できるか否かです。ただ、仮に自分で買主を見つけたとしても、不動産会社に仲介を依頼したほうが安全といえます。
個人間の直接取引では、トラブルが起きるリスクがあるからです。
また、買主が住宅ローンの融資を受ける場合には、不動産会社が作成をした重要事項説明書などの書類がないと申し込みができないことがほとんどです。
以上の理由から、特別な希望がなく、どの契約形態を選ぶべきかわからない場合には、「専属専任媒介契約」の検討をおすすめします。
仲介手数料
媒介契約を締結する際には、契約書の内容をよく確認することが大切です。
とくに注意したいのは、不動産会社に支払う仲介手数料の金額と支払い時期です。
仲介手数料の上限は、法律で以下のとおり定められています。
【仲介手数料の上限の額】
売買代金200万円以下 | 売買代金(税抜)の5% |
売買代金200万円超400万円以下 | 売買代金(税抜)の4%+2万円 |
売買代金400万円超 | 売買代金(税抜)の3%+6万円 |
※上記に消費税が加算されます。
たとえば、家を1,000万円で売却した場合を計算してみましょう。
- 売買代金:1,000万円
- 仲介手数料の上限:1,000万円 × 3%+6万円=36万円
- 消費税:36万円 × 10%=3.6万円
- 仲介手数料の上限:36万円+3.6万円=39.6万円(税込)
仲介手数料は成功報酬であり、売買契約が有効に成立した場合のみ、支払いが必要となります。
媒介契約を締結しても、家が売れなければ、支払う必要はありません。
仲介手数料の支払い時期は、売買契約時に半金、決済・引渡し時に半金とするのが一般的です。
販売活動
家を売るためのステップ4は「販売活動」です。
【ポイント】
- 不動産会社と相談して売り出し価格を決める
- 販売戦略を不動産会社の担当者と決める
- 内覧の対応をする
売り出し価格の決定と販売戦略
媒介契約を締結したら、不動産会社の担当者と相談し、売り出し価格や販売戦略を決めて、実際に売り出していきます。
売り出し価格は、売主の希望売却価格や不動産会社の査定価格をすり合わせて決定します。
実際の成約価格は、買主の購入希望価格とのすり合わせになりますので、それを見越して、少し高めの値付けをすることが多いでしょう。
ただし、販売戦略次第で適切な売り出し価格は変わるため、担当者とよく相談することが大切です。
内覧対応のポイント
物件情報が公開され、物件に対して興味を持つ人が現れると、「内覧」の申し込みが入ります。
内覧とは、購入検討中の人が現地を訪れ、実際に自分の目で見学することです。
内覧の対応をうまくすることで、スムーズな成約に結びつきやすくなります。
【内覧対応のポイント】
- 整理整頓して掃除する:室内、水回り、ベランダ、庭など、すべてのエリアをきれいに掃除し、整理整頓しておきます。クローゼットや押し入れの中も、すべて見せられるようにしておきましょう。
- 明るく広々とした印象を作る:不用なものはできるだけ処分し、窓ガラスを磨き、明るい照明を点灯します。明るい雰囲気と開放感を心掛け、室内が広々と見えるようにしましょう。
- 修理できる箇所はしておく:壁の穴、床の傷、網戸やふすまの破れなど、簡単に修理できる箇所は事前に修理しておきます。
- 換気と快適な室温に配慮する:ニオイがしないように事前の換気を十分に行い、室内の温度は快適にキープするようにします。
- 物件に関する詳細資料を準備しておく:住宅を購入したときのパンフレットや設計図、季節ごとの風景の写真など、詳細の資料を準備しておくと喜ばれます。
なお、内見者との間で、契約内容に関わる会話はしないように注意しましょう。
たとえば、口約束で「●●の部分は修理してもらえますか?」「はい、わかりました」といった会話があると、のちにトラブルになるリスクがあるためです。
条件交渉
家を売るためのステップ5は「条件交渉」です。
【ポイント】
- 購入希望者と条件を調整する
- 譲れない条件は前もってラインを決めて不動産会社の担当者と共有しておく
調整する条件
内覧を経て、購入希望者が現れたら、売買の条件を交渉していきます。
【調整する条件の例】
- 売買価格
- 手付金の額
- 引渡しの時期
- 契約不適合責任の期限
- 土地の実測を行うか否か
- 土地の実測を行う場合は、実際の面積に応じた売買代金の精算を行うか否か
- 建物や設備の補修を行うか否か
- 古家がある場合は撤去するか否か・公租公課(固定資産税や都市計画税)などの精算方法や金額
※それぞれを調整するだけではなく、複数の条件を合わせて調整することもあります。
とくに、売買価格については、基本的には「値引き交渉を持ちかけられるもの」と構えておきましょう。
事前に営業担当者と希望条件を共有
相手が強気の交渉をしてきても面食らうことなく、譲れないラインはきちんと守ることが大切です。
そのためには、事前に不動産会社の担当者と、どのラインまでなら譲歩するかの線引きをしておくとよいでしょう。
売主・購入希望者の双方が納得できる落としどころを見つけることが、スムーズな売却につながっていきます。
売買契約
家を売るためのステップ6は「売買契約」です。
【ポイント】
- 事前に契約書の草案を受け取り内容を確認する
- 解約手付けについて確認しておく
売買契約のチェックリスト
購入希望者の方と条件面の折り合いがついたら、売買契約を締結します。
事前に売買契約書の草案を受け取って、十分に内容をチェックしましょう。
【売買契約内容のチェックリスト】
●契約全体
□ 自分の希望条件は記載されているか
□ 自分にとって無理のある条件はないか
□ 不明確な条件はないか
□ 消費者契約に該当するか(該当する場合は消費者に不利な契約は無効)
●売買物件の表示
□ 売却物件の表示に誤りはないか
●売買代金、手付金等の額、支払日
□ 売買代金、手付金等の額に誤りはないか
□ 買主からの支払日はいつか
□ どのような性質の手付金か(解約、証約、違約)
□ 手付金等が高すぎたり安すぎたりしないか
●土地の実測及び土地代金の精算
□ 土地の実測は行うのか
□ 面積の増減に応じて売買代金の精算を行うのか、行う場合の単価は正しいか
●所有権の移転と引き渡し
□ 所有権の移転、引渡しの時期に問題はないか(確実に引き渡しができるか)
●負担の消除
□ 売却物件を完全な所有権で引渡しができるか(抵当権や賃借権などは確実に整理できるか)
□ 賃借権など引き継ぐ権利がある場合は、その内容は明確か
●危険負担
□ 契約締結後、引渡し前に物件が天災等により滅失、毀損した場合の取り扱いは明確か
●手付解除
□ 手付解除は可能か、いつまで手付解除が可能か
□ 手付金が高すぎたり安すぎたりしないか
●契約違反による解除
□ 違約金や損害賠償の予定額は適当か
●契約不適合責任
□ 契約不適合責任の期間は適切か
●付帯設備等の引き継ぎ
□ 引き継ぐ付帯設備等は明確か
●公租公課等の精算
□ 何を精算するのか明確か
□ 精算方法と金額を把握したか
●ローン特約
□ 買主に住宅ローンの利用予定があり、特約が付されている場合は、買主の信用力に照らして借り入れ内容(金額など)に無理はないか(無理な借り入れ内容の場合は、解除のリスクが高まる)
●その他
□ その他特に定めておく事項はないか
出典:不動産流通推進センター
解約手付
売買契約でとくに知っておきたいのは「解約手付」についてです。
【解約手付とは?】
- 買主は既に支払った手付金を放棄する(返還を求めない)こと
- 売主は既に受けとった手付金の倍額を買主に返すことにより、売買契約を解除することができる手付金のことをいいます。
別の表現をすると、手付金は、自己都合で売買契約を解除した場合に相手方に支払うペナルティ料となります。
手付金は、売買契約解除に対する抑止力として適正な金額でありつつも、自分が支払うことになる可能性も視野に入れて決めることが重要です。
一般的には、売買代金の10%程度が相場となります。
決済・引渡し
家を売るためのステップ7は「決済・引渡し」です。
【ポイント】
- 買主が売主に売買代金を支払う(決済)
- 売主が売買代金の受領と引き換えに、物件を買主に引き渡す(引渡し)
- 不動産会社への仲介手数料の支払いを完了する
当日の流れ
決済・引渡しは、不動産会社・金融機関・司法書士事務所などの場所に、関係者が集合して行われます。
買主から売主への売買代金の支払い(住宅ローンを利用する場合は融資の実行)が行われ、売主は所有権移転登記に必要な書類一式を買主に引き渡します。
一般的には、売主・買主の双方を司法書士が代理して、所有権移転登記を申請します。
必要書類
決済・引渡しでは、必要な書類を抜け漏れなく確実に準備することが重要です。
売主側の準備不足によって、契約で約束した日に引渡しが完了しないと、深刻な問題に発展しかねないためです。
【決済・引渡しの必要書類の例】
●登記関係書類等
・所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合)
登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日時点で発行後3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など
・抵当権抹消登記に必要な関係書類等
※登記関係書類等は司法書士等の専門家に確認しましょう。また、登記をオンライン申請する場合は準備するものが異なります。
●実印(登記関係書類に押印する)
●登記費用
●実測図や境界確認書(必要な場合のみ)
●残代金や各種精算金等の領収書(口座振込の場合は振込控えで代替する場合もある)
●建築関係書類、物件の鍵等の買主へ引き継ぐべきもの一式
●仲介手数料(媒介契約書の支払条件に基づいて準備する。不動産会社からは領収書を受け取る)
出典:不動産ジャパン
売主から不動産会社に対する仲介手数料の残金の支払いも、決済・引渡しの当日に行います。
確定申告
家を売るためのステップ8は「確定申告」です。
【ポイント】
- 脱税にならないように期限までに確実に申告・納税する
- 特例や控除の申請漏れがないようによく確認する
確定申告の時期
確定申告は、不動産を売却した日の翌年の2月16日〜3月15日に行います。
不明点があれば、早めに税務署や税理士に相談するなどして、準備を進めましょう。
確定申告の必要性
確定申告が必須となるのは、以下のケースです。
- 不動産を売却して譲渡益が出たため、納税の必要がある
- 納税の必要はないが、特例や控除の適用を受けたい
譲渡益や特例・控除については、この後「家を売る際にかかる費用・税金」にて詳しく解説します。
家を売る際にかかる費用・税金
不動産売却をする際には、さまざまな費用や税金が必要となります。
事前に把握して、資金を準備しておくことが大切です。
仲介手数料・諸費用
まず仲介手数料や諸費用として、以下が必要となります。
【家を売るときにかかる費用】
費用の種類 | 内容(金額は目安) |
---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 売買代金200万円以下:売買代金の5% 売買代金200万円超400万円以下:売買代金の4%+2万円 売買代金400万円超:売買代金の3%+6万円 (上記に消費税が加算される) |
印紙代 | 売買契約書に貼付する収入印紙 (金額は売買代金による/参考:印紙税額の一覧表) |
住宅ローン一括返済手数料 | 1〜3万円+消費税 |
住宅ローンの抵当権抹消登記 | 抹消登記の登録免許税:1不動産につき1,000円 司法書士への報酬:2〜3万円程度 |
ハウスクリーニング費用 | 3万円〜 |
引っ越し費用 | 3万円〜10万円以上(部屋の広さや荷物の量による) |
仲介手数料は以下の式で簡易的に求めることができます。
たとえば、仮に「売買代金2,000万円のマンション(住宅ローンあり)」として、試算してみましょう。
【計算例】
- 仲介手数料:2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 726,000円
- 収入印紙代:10,000円
- ローン抵当権抹消費用:22,000円
- ハウスクリーニング費用:50,000円
- 引っ越し費用:100,000円
—
合計:908,000円
家を売ると課税される税金
家を売ったときの譲渡所得に対する税金は、分離課税といって、給与所得などのほかの所得とは区分して計算されます。
譲渡所得金額の算式
課税対象となる譲渡所得金額の算式は、以下のとおりです。
(注1)譲渡価額とは、土地や建物の売却代金などをいいます。
(注2)取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額をいいます。
なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)とすることができます。
(注3)譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。
【譲渡所得金額の計算例】
- 売却代金(譲渡価額):2,000万円
- 取得費:1,800万円
- 譲渡費用:90万円
—
譲渡所得金額:2,000万円 – (1,800万円 + 90万円) = 10万円
上記のとおり、売却代金ではなく、経費を差し引いて利益がある場合(儲けが出た場合)に課税される仕組みです。
譲渡所得税の税率
譲渡所得金額に対して、以下の税率の譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。
【譲渡所得税の税率】
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
注1:マイホームを売ったときには、税率を軽減する特例があります。
注2:確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。
上記のとおり、「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」かによって、税率が異なります。
それぞれの区分は以下のとおりです。
長期譲渡所得 | 土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える |
短期譲渡所得 | 土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年以下 |
「5年」を区切りとして税率が大きく変わるため、どのタイミングで家を売るか検討する際に、注意が必要となります。
家を売ったときの特例・控除
譲渡所得金額が黒字(プラス)となった場合でも、特別控除を利用して節税対策をすると、納税が減額(または不要)となるケースがあります。
たとえば、マイホームで要件を満たすと「3,000万円の特別控除の特例」が適用となるため、3,000万円までの利益を圧縮できます。
【例:3,000万円の特別控除の特例】
不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談しながら、確定申告の準備を進めましょう。
最寄りの相談窓口は、税についての相談窓口(国税庁)にて確認できます。
家を売るときにかかる費用・税金には細かい要素が絡んでいるので、売却前に必ず確認しておきましょう。
家を売るときに見落としやすい注意点
最後に、家を売るときなど、不動産を売却する際の注意点について、お伝えします。
所有期間や住宅ローンの残債など諸条件を整理する
1つめは「所有期間や住宅ローンの残債など諸条件を整理する」です。
物件の状態、条件、適切な売却タイミングや手法などは、それぞれのケースで大きく異なります。
状況をよく整理して、全体を俯瞰しながら最適解を考えられる状態を作ることが、失敗回避のカギを握ります。
物件チェックは、本記事の前半でご紹介した「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」を活用しながら、整理を進めてください。
同時に、住宅ローンを借り入れている金融機関、所轄の税務署、不動産会社の担当者など、分野別の専門家に相談しながら、多角的な視点で情報収集を進めましょう。
仲介手数料などの出費の時期を把握する
2つめは「仲介手数料などの出費の時期を把握する」です。
「家を売るのにもお金がかかる」というのは、当事者になってみて初めて、痛感するポイントかもしれません。
売却代金が手元に入る前に準備する必要のあるお金(仲介手数料など)もあるため、あらかじめ資金を確保しておく必要があります。
家を売るだけでなく同時に購入も行う(買い替え・住み替えする)場合は、さらに綿密な計画が必要となります。
「マンション住み替えの失敗を防ぐには?流れや必要な費用・税金を解説」の記事も、参考にしてみてください。
悪質な業者に対して警戒する
3つめは、まれにいる、「悪質な業者に対して警戒する」です。
実際に起きているトラブルとして、以下が挙げられます。
【売却時のトラブル例】
- 不当に安い金額で売らされた
面識のない業者から突然に電話があり、マンションや一戸建て住宅を「買い取るので売ってほしい」と言葉巧みに勧誘され、近隣相場より著しく安い不当な金額で契約させられる。高齢者の方が狙われやすい。 - 不当な支払い遅延
買主業者が約束の期日に売買代金を支払わない。 - 原野商法(※)の二次・三次被害
過去に原野商法などで交わされた土地の所有者を狙った詐欺的行為による被害(売ってあげると言って広告費の名目でお金を支払わされた/測量費や造成費などのお金を支払わされた)
※【原野商法とは?】
「原野商法」は、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などとうその説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと問題勧誘を行ったりして販売をする商法です。1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。
出典: 政府広報オンライン
被害を防ぐためには、「家を売るための基本的な流れ 8ステップ」でご紹介したように、相場を把握したうえで、複数の不動産会社にこちらから連絡をして、査定してもらうことが重要です。
不動産会社と媒介契約を締結する際には、過去の営業実績や行政処分歴を確認しましょう。
たとえば、東京都の場合は以下の情報を閲覧できます。
【宅地建物取引業者の免許情報提供サービス 】
都庁では、都知事免許業者と都内に本店のある国土交通大臣免許業者について、下表の項目等を記載した名簿や申請書類等の閲覧ができます。また、インターネットで免許証番号、商号、代表者名、行政処分歴など名簿の一部を見ることができます。(宅建業者の免許情報提供サービス )
買主とのトラブル防止のための告知と確認を行う
4つめは「買主とのトラブル防止のための告知と確認を行う」です。
売買契約の内容に適合しないものを、売主が買主に引き渡した場合、大きなトラブルに発展するリスクがあります。
買主から補修などを求められたり、場合によっては、損害賠償請求や契約の解除に至るケースもあります。
売却する家について知っている欠陥・不具合がある場合には、告知書などの文書を通じて漏れなく買主に告知することを、徹底しましょう。
告知した欠陥・不具合は、売主・買主の双方が確認します。
「そのまま引き渡す/補修して引き渡す」などの条件も含めて、売買契約書の内容に盛り込み、後にトラブルへ発展する火種をなくしておきましょう。
家を売るときによくある質問
家を売るというのはとても時間のかかる作業だと思います。
そのため、家を売るときの手順や注意点、売却相場や売るタイミングなど気になることはキリがないと思います。
このように、気になることが沢山ある作業の中でもよく聞かれる質問をまとめてみました。
家を売るならどこがいい?
家を売るなら〇〇がおすすめというものはありません。
それぞれの目的や条件などによって、おすすめの売却先は異なるからです。
そのため、不動産売却マイスターでは、不動産売却の一括査定を推奨しています。
一括査定であれば、ご自身の希望に沿った理想的な売却先を見つける可能性が高いため、家を初めて売る方におすすめです。
不動産一括サイトに関しては、ご自身の目的にマッチするサイトを選び、必要な情報を入力するだけなので、とても簡単な作業です。
不動産一括査定サイト10社を徹底比較してみたので、家を売るのにどこがいいのか悩んでいる方はぜひ活用してみてください。
古い家を売ることもできる?
古い家を売ることは可能です。
ただし、築年数が浅い家と比べると、売却価格は低くなってしまうのと、買い手が見つかる可能性も下がります。
もし、古い家でも立地が良いなど様々な要因で高く売れることもあるので、一度相談してみることをおすすめします。
相続した家を売る場合はどうしたらいい?
まずは、相続した家を売る場合は、3年以内に終わらせるということを頭に入れておきましょう。
また、遺産分割協議や相続登記、共有名義の場合は全員の同意を得ておく必要もあります。
別の記事に相続した家を売るときの流れと注意点をまとめておきましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ローン中の家を売ることもできる?
ローン中の家を売ることは不可能ではないが、難しい売却になります。
なぜなら、ローン中の家には「抵当権」というものが設定されており、この影響で家を売ることが難しくなります。
そのため、通常はローンを完済してから売却というのがスムーズな流れになっています。
「離婚や急な住み替えで、ローン中の家を売りたい…」
このような場合は、下記の記事で紹介している内容を参考に売却までの作業を行ってみてください。
家を高く売るにはどうすればいい?
家を高く売るには、まず現状を把握して適切な対応をする必要があります。
- 住んでいる家を高く売りたいのか
- 古い家を高く売りたいのか
- ローン中の家を高く売りたいのか
上記は一例ですが、このように現在の状況によって、高く家を売る方法は異なります。
この点に関して、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
本記事では「家を売る」をテーマに解説しました。
要点をまとめておきましょう。
家を売るための基本的な流れを8つのステップに分けてご紹介しました。
家を売る際にかかる費用・税金として、以下が挙げられます。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 住宅ローン一括返済手数料
- 住宅ローンの抵当権抹消登記
- ハウスクリーニング費用
- 引っ越し費用
- 譲渡所得税(所得税・住民税)
- その他
家を売るときには、以下にご注意ください。
さっそく、現状把握や査定依頼から進めていきましょう。
査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。
1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。
2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。
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