【完全ガイド】家を売る方法と8つの手順|注意点を要チェック

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家を売る アイキャッチ

「家を売りたいけれど、何から始めればいいのか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?

この記事では、家を売るための完全ガイドとして、下記の内容を記載しております。

また、家を売るときによくある質問として

家を売るならどこがいい?
古い家を売ることもできる?
相続した家を売る場合はどうしたらいい?
ローン中の家を売ることもできる?
家を高く売るにはどうすればいい?
家を売るならいつがベスト?

といった内容の質問にも回答しています。

「家を売るには、どうすればいい?」

という方に結論からお伝えすると、以下が基本の手順です。

家を売る手順

損せずに、できるだけ良好な条件で家を売るためには、事前に全体の流れを理解すること、および注意点を先に把握しておくことが重要です。

知識があれば、トラブルや損失を回避して、満足できる売却を実現できるでしょう。

この記事では、家を売るときに知っておきたい基礎知識から注意事項まで、わかりやすく解説します。

「初めて自宅売却をする」という方が、安心して手続きを進められるようになれば幸いです。

一般的に、不動産仲介業者の選び方が重要だとされています。

不動産仲介業者選びは、無料の不動産一括査定サイトを通じて各社を比較・検討して行うことが失敗のない自宅売却につながります。

宅地建物取引士・一級建築施工管理技士の資格を持つ方が「家を売る」方法について解説している動画も参考にしてください。

出典:不動産売却チャンネル
目次

家を売る前に知っておくべき基本情報

家を売る前には、事前に知っておくべき情報や準備をしてから不動産会社に行くのがベストでしょう。

【家を売る前に知っておくべき基本情報】
① 家を売る方法は大きく2種類(仲介・買取)
② 家を売るときの相場
③ 家を売るタイミング
④ 家を売るならどこがいい?不動産会社選びのポイント
⑤ 家を売る際の必要書類一覧

事前に必要な情報を知っておくことで、スムーズな売却が可能になります。

また、適切な知識を持たずに売却を進めると、不動産会社の言いなりになってしまったり、相場より安く売ってしまうリスクがあります。

それでは、1つずつ解説していきます。

家を売る方法は大きく2種類(仲介・買取)

家を売る方法には、大きく2つの方法があります。

仲介買取
メリット相場通りの価格で売れる傾向にある
専門知識が不要で売れる
交渉サポートまで携わってくれる
早く売却できる
ほぼ確実に売却できる
プロセスが簡単
リフォームや修繕が不要な場合が多い
デメリット家が売れるまでに時間がかかる
仲介手数料が発生する
相場よりも低い金額で売却することになる
業者が少ないため比較検討が難しい
買取価格の透明性

家を売る方法1.「仲介」

メリットデメリット
相場通りの価格で売れる傾向にある
専門知識が不要で売れる
交渉サポートまで携わってくれる
早く売却できる
仲介手数料が発生する
家を売る方法1.「仲介」

家を売る方法1つ目は「仲介」です。

仲介とは、売主であるあなたが、不動産会社に依頼し、買主を探してもらうことを意味しています。

仲介では、家を売るためのプロ集団が携わるため、専門的な知識を持たなくても、相場価格で販売してくれます。

仲介の場合だと、家を売るまでの時間が長くなる傾向にあることを抑えておきましょう。

家を売る方法2.「買取」

メリットデメリット
早く売却できる
ほぼ確実に売却できる
プロセスが簡単
リフォームや修繕が不要な場合が多い
相場よりも低い金額で売却することになる
業者が少ないため比較検討が難しい
買取価格の透明性
家を売る方法2.「買取」

家を売る方法2つ目は「買取」です。

買取では、不動産仲介とは違い、不動産会社が買主になってくれるため、仲介に比べて早く取引が成立します。

その一方で、不動産仲介よりも家を売る相場は低くなるため、希望通りの価格で売却できるケースは少なくなります。

「時間をかけても高く売りたいなら仲介」「すぐに現金化したいなら買取」というように、自分の状況に応じて選ぶのがベストです。

家を売るときの相場

家を売るときの相場は、築年数によって大きく売却価格の相場が変わります。

築年数別の売却相場は次の表の通りです。

【築年数別での一戸建ての売却価格の相場】

築年数下落率購入時の価格
築5年以内0%2000万円3000万円4000万円5000万円
築5~10年未満10%1800万円2700万円3600万円4500万円
築10~15年未満21%1580万円2370万円3160万円3950万円
築15~20年未満34%1320万円1980万円2640万円3300万円
築20~25年未満41%1180万円1770万円2360万円2950万円
築25~30年未満46%1080万円1620万円2160万円2700万円
築30年~67%660万円990万円1320万円1650万円

【築年数別でのマンションの売却価格の相場

築年数下落率購入時の価格
築5年以内0%2000万円3000万円4000万円5000万円
築5~10年未満7%1860万円2790万円3720万円4650万円
築10~15年未満12%1760万円2640万円3520万円4400万円
築15~20年未満26%1480万円2220万円2960万円3700万円
築20~25年未満32%1360万円2040万円2720万円3400万円
築25~30年未満46%1080万円1620万円2160万円2700万円
築30年~54%920万円1380万円1840万円2300万円
※レインズがまとめた「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年10~12月】」をもとに計算した
※築5年以内はデータ上下落率0%になっていますが、実際は価格が新築時よりも下落します。

家を売るときの相場は上記の「築年数」と「エリア」が大きく影響しています。

国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の情報によると、築年数20年で建物の価値はほぼゼロになると言われています。

そのため、20年以上を過ぎている場合は「エリア」の相場が重要視される傾向にあります。

不動産売却マイスターでは、築年数別の家を売るときの相場エリア別の家を売るときの相場をまとめていますので、相場を知りたい方はぜひご覧ください。

具体的に、自分の家がどのくらいの相場なのかを把握したい方は家の売却価格の相場を調べる方法を参考にしてみてください。

家を売るタイミング

当たり前ですが、家を売るタイミングは、築年数が少なければ少ないほど高く売れる傾向にあります。

そのほかの家を売るタイミングに関して、以下の要素が重要と言われています。

  • 築年数
  • リセールバリュー
  • 大規模開発
  • 税金

また、成約物件の推移を見てみましょう。

下記は、首都圏の中古マンションと戸建ての成約物件の推移になります。

参照:公益財団法人不動産流通推進センターの2024年不動産業統計集
参照:公益財団法人不動産流通推進センターの2024年不動産業統計集

このデータを見てみると、成約件数が少ない時期と増える時期があるのが分かります。

成約件数が少ない時期(11〜1月・8月)
この時期は 住宅の動きが鈍くなる 傾向があるため、売却を急がない場合はタイミングを見計らうのが良い。

成約件数が増える時期(2〜3月・9〜10月)
売却をスムーズに進めるためには、この時期に売却活動を本格化させるのがベストです。
購入希望者の動きが活発なタイミングで売り出すことで、より高値での売却が期待できます。

つまり、2〜3月・9〜10月(成約件数が増える時期)は住宅の需要が高まり、売却がスムーズに進みやすい傾向にあると言えます。

転勤や進学などの理由で、特に春は住宅の買い手が増えやすく、市場が活発になります。また、金利や税制改正などの影響も考慮し、売却のタイミングを決めることが大切です。

可能であれば、市場が活発な時期になる前から売却活動を始めることで、希望価格で売れる可能性が高まるでしょう。

このタイミングに関しては家を売るタイミングを決める要素4つで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

家を売るならどこがいい?不動産会社選びのポイント

「家を売りたいけれど、どの不動産会社に依頼すればいいの?」と迷っていませんか?

不動産会社には「大手」と「地域密着型」があり、それぞれ得意分野や売却成功率が異なります。そのため、適切な業者を選ぶことが、家を高く・早く売るための重要なポイントになります。

なぜ、「大手」と「地域密着型」で売却成功率が異なってくるのか、それぞれの特徴をもとに解説します。

大手不動産会社の特徴
  • 全国的な広告力とネットワークを活かし、多くの買主とマッチング可能
  • ブランド力があり、売却価格の信頼性が高い
  • 提携ローンや金融機関との連携がスムーズ

※エリアによっては売却に時間がかかることもあります。

地域密着型の不動産会社の特徴
  • 地元の市場を熟知し、相場に適した価格で売却できる
  • 地域特有の買主ニーズを把握している
  • フットワークが軽く、柔軟な対応が可能

※全国的な広告展開が少なく、買主を見つけるまでに時間がかかることもあります。

つまり、売却成功率の違いは「集客力」と「販売戦略」によるものだと言えます。

大手不動産会社は、全国的な広告力と広範なネットワークを活かして、多くの買主へアプローチできるため、特に都市部や人気エリアでは早期売却が期待できます。

一方、地域密着型の不動産会社は、地元市場を熟知しており、地域特有の買主ニーズに即した売却戦略が可能です。特に、エリアごとの適正価格で売却しやすいため、地方やニッチな物件には強みを発揮します。

そのため、物件の特性や売却目的に応じて最適な不動産会社を選ぶことが、成功率を高めるカギとなります。

例えば、不動産会社を選ぶ際に、「戸建て売却に強い会社」や「物件のエリアに強い業者」など、自分の物件に合った業者を見極めなければいけません。

ここで、おすすめなのが「不動産一括査定サイト」です。
※不動産一括査定サイトとは、一度に複数の不動産会社に査定依頼できるサービスです。

戸建て売却に強い会社を見つけるには、イエウールを利用するのがおすすめです。

なぜ、戸建て売却に強い会社を見つけるのにイエウールなのか?

→売却成立サポート件数が年間20万と圧倒的に多いからです。

サイト売却成立サポート件数
イエウール年間20万件
HOME4U累計65万件※1
すまいValue累計87万件※2

※1 2024年11月時点  ※2 2024年3月時点

イエウールは、2014年からサービス開始していますので、おおよそで考えても他のサイトより件数が多いのが分かるかと思います。

圧倒的な成立件数がある為、戸建て売却にも強いのが分かるでしょう。

続いて、物件のエリアに強い会社を見つけるには、LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)です。

なぜ、物件のエリアに強い会社を見つけるのにLIFULL HOME’Sなのか?

→不動産会社との提携数が、全国約4,500社あり、大手から中小・地元密着型の不動産会社まで幅広く網羅しているからです。

サイト不動産提携数
LIFULL HOME’S約4,500社
HOME4U約2,500社
すまいValue841社

LIFULL HOME’Sは、他社と比べても不動産提携数が圧倒的に多い為、物件のエリアに強い会社が見つかる確率が高いことからおすすめです。

家を売る際の必要書類一覧

家を売る際には、売却前や契約時などに必要な書類を準備しておくことが大切です。

売却手続きの途中で書類が不足すると、売却活動がストップしたり、契約に支障をきたす可能性があります。

ここでは、必要な書類を一覧で紹介します。

・登記済権利証または登記識別情報
・固定資産税納税通知書・課税明細書
・土地測量図・境界確認書(土地の面積や境界を明確にする)
・建築確認済証・検査済証(建築基準法に適合しているか確認する書類)
・耐震診断報告書(ある場合)(耐震性能を証明)
・売買契約書やその他書類 等

売却を決めたら、すぐに必要書類をリストアップし、事前に準備を進めておくことがスムーズな取引のポイントです。

必要書類はどこで取得できるのかについて詳しくは、後ほど紹介する「家を売るための具体的な手順の決済・引渡し」をご覧ください。

家を売るための具体的な手順

家を売るための手順

冒頭でも触れたとおり、家を売るための基本的な手順は、次の8ステップになります。

それぞれのステップで注意したいポイントも含めて、以下で詳しく解説します。

① 現状把握【売却の準備をする】

家を売るためのステップ1は「現状把握」です。

適切な価格でスムーズに売却するためには、希望条件の整理・相場の把握・物件の状態確認が重要になります。
これらを事前に行うことで、売却の失敗を防ぎ、最適なタイミングで売却を進めることができます。

【ポイント】

  • 売却価格や時期などの希望条件を整理する
  • 物件の相場を把握する
  • 売却する住宅の状態を事前にチェックする

希望条件と相場の把握

まずは「いつまでに、どの程度の金額で売却したいのか?」という希望を整理しておきましょう。

売却の目的は人によって異なりますが、「住宅ローンの完済」「住み替え資金の確保」「相続物件の処分」など、事前に明確にすることが重要です。

また、自分の希望価格と市場相場にギャップがあると、売却活動が長期化したり、結果的に値下げせざるを得なくなるケースもあります。

以下のサイトで、類似物件の相場を確認しておきましょう。

【相場を知るために役立つサイト】

物件チェック

売却する住宅の権利関係や敷地などの物件チェックも、並行して進めます。

東京都住宅政策本部の「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」によると、売却前に物件の権利関係や物理的な状態を確認することで、売却後のトラブルを防ぐことができるとされています。

なぜなら、買主は物件の状態を重視するからです。特に、雨漏りやシロアリ被害、給水・配管の不具合があると、売却価格が下がる要因になります。

また、土地の境界や建築制限などの法令面も確認しておかないと、契約後のトラブルにつながる可能性があります。

【物件チェックの内容】

種類目的
1. 土地・建物の権利関係及び履歴並びに住環境土地や建物の権利関係、売買に際し必要な書類、土地や建物の履歴、周辺の住環境等の確認
2. 敷地関係敷地の境界、塀等の帰属、埋設物・配管、接道条件等の法令制限の確認
3. 建物等関係雨漏り、シロアリ被害、木部等の腐食、給水・配水管からの漏水・赤水等の確認
4. 設備・工作物関係引渡しを行う設備・工作物等とその状態の確認
出典:東京都住宅政策本部「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」

「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」に掲載されている「物件チェックリスト」を活用すると、便利です。

【物件チェックリスト】

物件チェックリスト
出典:東京都住宅政策本部「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」

② 査定依頼【家の価値を知る】

家を売るためのステップ2は「査定依頼」です。

査定を依頼することで、売却価格の目安を知り、適正な価格設定ができるようになります。

また、査定のやり取りを通じて、不動産会社の対応や姿勢を確認し、信頼できる会社を選ぶための判断材料にすることも重要です。

【ポイント】

  • 複数の不動産会社に査定依頼をして結果を比較する
  • 好印象だった不動産会社を選んで詳細の査定を依頼する
  • 査定のやり取りを通じて信頼できる不動産会社を見極める

複数の会社に依頼

いくつかの不動産会社に査定を依頼して、売却を検討している家が、どの程度の金額で売れそうか見積もりを出してもらいます。

査定は、金額を算出してもらうだけでなく、不動産会社とのコミュニケーションを通じて、どの会社に仲介を依頼するか検討する重要な意味もあります。

査定価格は、不動産会社が持つ過去の取引事例・地域の市場動向・査定手法によって異なります。

そのため、1社の査定価格だけを信用するのではなく、複数社の査定を比較検討することが大切です。

一括査定サイトが便利

不動産一括査定サイトが便利

不動産一括査定サイトを利用すると、複数の会社に個別に依頼する手間が省けるので、便利です。

【一括査定サイトの例】

サイト名特徴運営企業
HOME4U国内初・日本最大級の不動産一括査定サイトNTTデータ スマートソーシング(NTTグループ)
すまいValue業界大手6社による直営サイト小田急不動産、住友不動産販売東急リバブル、野村不動産ソリューションズ、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)、三菱地所ハウスネット
おうちクラベル大手・フランチャイズ・地元密着など幅広い不動産会社に依頼可SREホールディングス(ソニーグループ)
マンションナビマンション専門の一括査定サイトマンションリサーチ
おすすめの方

大手不動産会社に依頼したい → 「すまいValue
幅広い会社から査定を受けたい → 「HOME4U」「おうちクラベル
マンション売却を考えている → 「マンションナビ

ただし、査定額の見方や適正価格を知ることも重要です。

③ 媒介契約【信頼できる不動産会社を選ぶ】

家を売るためのステップ3は「媒介契約」です。

媒介契約とは、不動産を売却する際に、不動産会社に仲介を依頼する契約のことです。
この契約を結ぶことで、不動産会社が売却活動を行い、買主を探してくれます。

媒介契約を適切に選ぶことで、不動産会社の販売活動に対する姿勢が変わり、売却の成功率にも影響します。
契約内容を十分に理解し、納得した上で契約を結ぶことが大切です。

【ポイント】

  • 適切な媒介契約の種類を選ぶ
  • 契約の内容を十分に確認する(とくに仲介手数料について)

媒介契約の種類

仲介を依頼したい不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。

媒介契約には、以下の3つの種類があるので、適切な契約を選ぶことが重要です。

【媒介契約の種類】

媒介契約の種類
種類特徴
専属専任媒介契約依頼できるのは1社だけです。 売主自らが買主を見つけたときでも、 依頼した媒介業者を介して契約しなければなりません。レインズ(※)への登録義務、1週間に1 回以上の販売状況の報告義務があります。
専任媒介契約依頼できるのは 1 社だけでレインズへの登録義務があるのは専属専任媒介契約と同じです。売主自らが買主を見つけたときは直接契約することもできます。 2 週間に1 回以上の販売状況の報告義務があります。
一般媒介契約複数の業者に依頼することができます。 売主自らが買主を見つけたときは直接契約することができます。レインズへの登録義務はありません。
出典:全日保証「家を売る。」より作成

※レインズ:国土交通大臣の指定を受けた指定流通機構が運営しているネットワークシステム。宅地建物取引業者は専属専任媒介契約・専任媒介契約の締結時と売買等の契約成立時には、取引価格等を登録・通知することを義務づけられている。

簡単にいうと、売主にとっての制限が強くなるほど、不動産会社の注力度が上がる関係になっています。

媒介契約ごとの売りやすさ

どの契約形態が最適かは、それぞれの状況や希望によって異なるものの、最もおすすめを挙げるなら「専属専任媒介契約」です。

多数の不動産会社と契約できる「一般媒介契約」では、不動産会社の注力度が下がるため、好条件での売却が難しくなります。

不動産会社の立場から見ると、注力しても途中で他社に売買契約を獲られるリスクがあるため、うまみの少ない案件となります。

「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の違いは、自分で見つけた買主と直接契約できるか否かです。ただ、仮に自分で買主を見つけたとしても、不動産会社に仲介を依頼したほうが安全といえます。

個人間の直接取引では、トラブルが起きるリスクがあるからです。

また、買主が住宅ローンの融資を受ける場合には、不動産会社が作成をした重要事項説明書などの書類がないと申し込みができないことがほとんどです。

以上の理由から、特別な希望がなく、どの契約形態を選ぶべきかわからない場合には、「専属専任媒介契約」の検討をおすすめします。

仲介手数料

媒介契約を締結する際には、契約書の内容をよく確認することが大切です。

とくに注意したいのは、不動産会社に支払う仲介手数料の金額と支払い時期です。

仲介手数料の上限は、法律で以下のとおり定められています。

【仲介手数料の上限の額】

売買代金200万円以下売買代金(税抜)の5%
売買代金200万円超400万円以下売買代金(税抜)の4%+2万円
売買代金400万円超売買代金(税抜)の3%+6万円

※上記に消費税が加算されます。

たとえば、家を1,000万円で売却した場合を計算してみましょう。

  • 売買代金:1,000万円
  • 仲介手数料の上限:1,000万円 × 3%+6万円=36万円
  • 消費税:36万円 × 10%=3.6万円
  • 仲介手数料の上限:36万円+3.6万円=39.6万円(税込)

仲介手数料は成功報酬であり、売買契約が有効に成立した場合のみ、支払いが必要となります。

媒介契約を締結しても、家が売れなければ、支払う必要はありません。

仲介手数料の支払い時期は、売買契約時に半金、決済・引渡し時に半金とするのが一般的です。

事前に契約書を確認し、追加費用の有無や支払いスケジュールを確認しておきましょう。

④ 販売活動【売却活動を開始】

家を売るためのステップ4は「販売活動」です。

このステップでは、不動産会社と相談しながら、売り出し価格や販売戦略を決定し、買主を見つけるための活動を行います。
また、購入希望者の内覧対応を適切に行うことで、スムーズな成約へとつなげることができます。

【ポイント】

  • 不動産会社と相談して売り出し価格を決める
  • 販売戦略を不動産会社の担当者と決める
  • 内覧の対応をする

売り出し価格の決定と販売戦略

家の販売戦略

媒介契約を締結したら、不動産会社の担当者と相談し、売り出し価格や販売戦略を決めて、実際に売り出していきます。

売り出し価格は、売主の希望売却価格や不動産会社の査定価格をすり合わせて決定します。

実際の成約価格は、買主の購入希望価格とのすり合わせになりますので、それを見越して、少し高めの値付けをすることが多いでしょう。

ただし、販売戦略次第で適切な売り出し価格は変わるため、担当者とよく相談することが大切です。

内覧対応のポイント

物件情報が公開され、物件に対して興味を持つ人が現れると、「内覧」の申し込みが入ります。

内覧とは、購入検討中の人が現地を訪れ、実際に自分の目で見学することです。

内覧の対応をうまくすることで、スムーズな成約に結びつきやすくなります。

【内覧対応のポイント】

  • 整理整頓して掃除する:室内、水回り、ベランダ、庭など、すべてのエリアをきれいに掃除し、整理整頓しておきます。クローゼットや押し入れの中も、すべて見せられるようにしておきましょう。
  • 明るく広々とした印象を作る:不用なものはできるだけ処分し、窓ガラスを磨き、明るい照明を点灯します。明るい雰囲気と開放感を心掛け、室内が広々と見えるようにしましょう。
  • 修理できる箇所はしておく:壁の穴、床の傷、網戸やふすまの破れなど、簡単に修理できる箇所は事前に修理しておきます。
  • ​​換気と快適な室温に配慮する:ニオイがしないように事前の換気を十分に行い、室内の温度は快適にキープするようにします。
  • 物件に関する詳細資料を準備しておく:住宅を購入したときのパンフレットや設計図、季節ごとの風景の写真など、詳細の資料を準備しておくと喜ばれます。

なお、内見者との間で、契約内容に関わる会話はしないように注意しましょう。

たとえば、口約束で「●●の部分は修理してもらえますか?」「はい、わかりました」といった会話があると、のちにトラブルになるリスクがあるためです。

⑤ 条件交渉【買主と条件をすり合わせる】

家を売るためのステップ5は「条件交渉」です。

条件交渉は、売主と買主の希望を調整し、お互いが納得できる取引を成立させるための重要なステップです。

不動産売却では、価格だけでなく、引渡し時期や設備の補修など、複数の条件をすり合わせながら交渉を進めることがポイントになります。

【ポイント】

  • 購入希望者と条件を調整する
  • 譲れない条件は前もってラインを決めて不動産会社の担当者と共有しておく

調整する条件

内覧を経て、購入希望者が現れたら、売買の条件を交渉していきます。

条件交渉のポイントは、売主・買主双方が納得できる落としどころを見つけることです。売却価格だけでなく、その他の条件も調整することで、売却成立の可能性を高めることができます。

【調整する条件の例】

  • 売買価格
  • 手付金の額
  • 引渡しの時期
  • 契約不適合責任の期限
  • 土地の実測を行うか否か
  • 土地の実測を行う場合は、実際の面積に応じた売買代金の精算を行うか否か
  • 建物や設備の補修を行うか否か
  • 古家がある場合は撤去するか否か・公租公課(固定資産税や都市計画税)などの精算方法や金額

※それぞれを調整するだけではなく、複数の条件を合わせて調整することもあります。

とくに、売買価格については、基本的には「値引き交渉を持ちかけられるもの」と構えておきましょう。

事前に「どこまでなら値引き可能か」を決めておくことで、買主からの交渉に対して冷静に対応できます。

事前に営業担当者と希望条件を共有

相手が強気の交渉をしてきても面食らうことなく、譲れないラインはきちんと守ることが大切です。

そのためには、事前に不動産会社の担当者と、どのラインまでなら譲歩するかの線引きをしておくとよいでしょう。

売主・購入希望者の双方が納得できる落としどころを見つけることが、スムーズな売却につながっていきます。

⑥ 売買契約【正式に売買契約を結ぶ】

家を売るためのステップ6は「売買契約」です。

この契約を締結することで、売却が確定し、引き渡しに向けた準備が進むことになります。

しかし、一度契約を結ぶと、売主・買主双方に法的な義務が発生するため、契約内容をしっかり確認し、リスクを回避することが重要です。

【ポイント】

  • 事前に契約書の草案を受け取り内容を確認する
  • 解約手付けについて確認しておく

売買契約のチェックリスト

購入希望者の方と条件面の折り合いがついたら、売買契約を締結します。

不動産売買におけるトラブルの中には「契約内容の確認不足」によるものもあります。

不動産流通推進センターのフォローアッププログラム

事前に売買契約書の草案を受け取って、十分に内容をチェックしましょう。

チェックする理由として、売買契約書には、売却価格・引渡し時期・負担する費用・違約金など、取引に関するすべての条件が記載されているため、後のトラブルを防ぐために事前確認が必要です。

【売買契約内容のチェックリスト】

●契約全体

 □ 自分の希望条件は記載されているか

 □ 自分にとって無理のある条件はないか

 □ 不明確な条件はないか

 □ 消費者契約に該当するか(該当する場合は消費者に不利な契約は無効)

●売買物件の表示

 □ 売却物件の表示に誤りはないか

●売買代金、手付金等の額、支払日

 □ 売買代金、手付金等の額に誤りはないか

 □ 買主からの支払日はいつか

 □ どのような性質の手付金か(解約、証約、違約)

 □ 手付金等が高すぎたり安すぎたりしないか

●土地の実測及び土地代金の精算

 □ 土地の実測は行うのか

 □ 面積の増減に応じて売買代金の精算を行うのか、行う場合の単価は正しいか

●所有権の移転と引き渡し

 □ 所有権の移転、引渡しの時期に問題はないか(確実に引き渡しができるか)

●負担の消除

 □ 売却物件を完全な所有権で引渡しができるか(抵当権や賃借権などは確実に整理できるか)

 □ 賃借権など引き継ぐ権利がある場合は、その内容は明確か

●危険負担

 □ 契約締結後、引渡し前に物件が天災等により滅失、毀損した場合の取り扱いは明確か

●手付解除

 □ 手付解除は可能か、いつまで手付解除が可能か

 □ 手付金が高すぎたり安すぎたりしないか

●契約違反による解除

 □ 違約金や損害賠償の予定額は適当か

●契約不適合責任

 □ 契約不適合責任の期間は適切か

●付帯設備等の引き継ぎ

 □ 引き継ぐ付帯設備等は明確か

●公租公課等の精算

 □ 何を精算するのか明確か

 □ 精算方法と金額を把握したか

●ローン特約

 □ 買主に住宅ローンの利用予定があり、特約が付されている場合は、買主の信用力に照らして借り入れ内容(金額など)に無理はないか(無理な借り入れ内容の場合は、解除のリスクが高まる)

●その他

 □ その他特に定めておく事項はないか

出典:不動産流通推進センター

解約手付

売買契約でとくに知っておきたいのは「解約手付」についてです。

【解約手付とは?】

  • 買主は既に支払った手付金を放棄する(返還を求めない)こと
  • 売主は既に受けとった手付金の倍額を買主に返すことにより、売買契約を解除することができる手付金のことをいいます。

別の表現をすると、手付金は、自己都合で売買契約を解除した場合に相手方に支払うペナルティ料となります。

手付金は、売買契約解除に対する抑止力として適正な金額でありつつも、自分が支払うことになる可能性も視野に入れて決めることが重要です。

一般的には、売買代金の10%程度が相場となります。

⑦ 決済・引渡し【お金を受け取り家を引き渡す】

家を売るためのステップ7は「決済・引渡し」です。

この手続きが完了すると、正式に買主へ物件が引き渡され、売主は売買代金を受け取ることになります。

しかし、決済・引渡しの当日にトラブル※が発生すると、契約違反に発展する可能性もあります。

※ここでのトラブルは、売主側が準備しなければいけない必要な書類を準備し忘れる事。

そのため、事前に必要書類や手続きの流れを確認し、スムーズな決済・引渡しを行うことが重要です。

【ポイント】

  • 買主が売主に売買代金を支払う(決済)
  • 売主が売買代金の受領と引き換えに、物件を買主に引き渡す(引渡し)
  • 不動産会社への仲介手数料の支払いを完了する

当日の流れ

不動産売買の決済

決済・引渡しは、不動産会社・金融機関・司法書士事務所などの場所に、関係者が集合して行われます。

買主から売主への売買代金の支払い(住宅ローンを利用する場合は融資の実行)が行われ、売主は所有権移転登記に必要な書類一式を買主に引き渡します。

一般的には、売主・買主の双方を司法書士が代理して、所有権移転登記を申請します。

必要書類

決済・引渡しでは、必要な書類を抜け漏れなく確実に準備することが重要です。

売主側の準備不足によって、契約で約束した日に引渡しが完了しないと、深刻な問題に発展しかねないためです。

【決済・引渡しの必要書類の例】

●登記関係書類等

・所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合)

登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日時点で発行後3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など

・抵当権抹消登記に必要な関係書類等

※登記関係書類等は司法書士等の専門家に確認しましょう。また、登記をオンライン申請する場合は準備するものが異なります。

●実印(登記関係書類に押印する)

●登記費用

●実測図や境界確認書(必要な場合のみ)

●残代金や各種精算金等の領収書(口座振込の場合は振込控えで代替する場合もある)

●建築関係書類、物件の鍵等の買主へ引き継ぐべきもの一式

●仲介手数料(媒介契約書の支払条件に基づいて準備する。不動産会社からは領収書を受け取る)

出典:不動産ジャパン

実際に必要書類をどこで取得することができるのかも知っておきましょう。

必要書類取得場所
登記識別情報または権利証不動産を取得した際に、法務局から交付されています。
印鑑証明書・住民票市区町村の役所またはコンビニ(要マイナンバーカード)
固定資産評価額証明書市区町村の役所の税務課※1
司法書士への委任状司法書士に依頼する際に、司法書士事務所から提供される。
実測図や境界確認書測量を行った土地家屋調査士または建築士事務所※2
※1:取得時必要な物→本人確認書類、不動産の所在地情報
※2測量後に役所に登録していた場合は、市区町村の役所で保管されていることもあります。

売主から不動産会社に対する仲介手数料の残金の支払いも、決済・引渡しの当日に行います。

⑧ 確定申告【税金の手続きを行う】

家を売るためのステップ8は「確定申告」です。

このステップでは、確定申告の必要性や申告のタイミング、特例や控除の適用方法について解説します。

不動産売却に関する税金の手続きは期限を過ぎるとペナルティが発生する可能性があるため、事前に準備を進め、スムーズに申告を完了させましょう。

【ポイント】

  • 脱税にならないように期限までに確実に申告・納税する
  • 特例や控除の申請漏れがないようによく確認する

確定申告の時期

確定申告の時期

確定申告は、不動産を売却した日の翌年の2月16日〜3月15日に行います。

不動産を売却した際の確定申告は、基本的にはご自身で行うことも可能ですが、複雑な控除や経費計上が絡む場合などはプロに任せると安心です。

依頼先は税理士になりますが、近年では「確定申告代行サービス(オンライン含む)」などもあります。

税理士(税務のプロ)
 不動産の譲渡所得や控除に詳しく、複雑なケースにも対応できる
 書類作成から税務署対応まで幅広くサポート可能

確定申告代行サービス(オンライン含む)
 オンラインで書類をアップロードすると、必要事項を代わりに入力・作成してくれるサービス
 細かい税務相談が必要な場合は、税理士資格を持つ担当者がいるかを確認するのが望ましい

税理士に依頼するなら、インターネット検索や知人の紹介、税理士紹介サイトなどで探す他にも、売却した不動産会社や融資を受けている金融機関から、提携先の税理士を紹介してもらうケースもあります。

また、確定申告代行サービスは、「確定申告代行」などで検索をかければ出てきます。税理士事務所がやっている代行サービスなども増えてきています。

依頼する際の費用については以下になります。あくまで一般的な目安です。

依頼先・方法費用の目安
税理士に直接依頼3万円〜10万円程度
オンラインの確定申告代行サービス2万円〜5万円程度
不動産会社提携の税理士3万円〜10万円程度(紹介料含む)

※費用は、依頼内容の範囲(書類作成のみ/税務署への提出・相談込み/電話サポートの有無 など)によって上下します。

おすすめ案
  • 「不動産の譲渡所得が複雑な場合」→ 税理士に任せるのが安全
  • 「簡単な内容で費用を抑えたい場合」→ オンライン代行サービスや書類作成のみのプランで対応

不明点があれば、早めに税務署や税理士に相談するなどして、準備を進めましょう。

確定申告の必要性

確定申告が必須となるのは、以下のケースです。

  • 不動産を売却して譲渡益が出たため、納税の必要がある
  • 納税の必要はないが、特例や控除の適用を受けたい

譲渡益や特例・控除については、この後「家を売る際にかかる費用・税金」にて詳しく解説します。

家を売る際にかかる費用・税金

不動産売却をする際には、さまざまな費用や税金が必要となります。

事前に把握して、資金を準備しておくことが大切です。

仲介手数料・諸費用

まず仲介手数料や諸費用として、以下が必要となります。

【家を売るときにかかる費用】

費用の種類内容(金額は目安)
仲介手数料不動産会社に支払う成功報酬
売買代金200万円以下:売買代金の5%
売買代金200万円超400万円以下:売買代金の4%+2万円
売買代金400万円超:売買代金の3%+6万円
(上記に消費税が加算される)
印紙代売買契約書に貼付する収入印紙
(金額は売買代金による/参考:印紙税額の一覧表
住宅ローン一括返済手数料1〜3万円+消費税
住宅ローンの抵当権抹消登記抹消登記の登録免許税:1不動産につき1,000円
司法書士への報酬:2〜3万円程度
ハウスクリーニング費用3万円〜
引っ越し費用3万円〜10万円以上(部屋の広さや荷物の量による)
※その他、状況に応じて実際にかかる費用の項目や金額は異なります。

仲介手数料は以下の式で簡易的に求めることができます。

不動産 仲介手数料

たとえば、仮に「売買代金2,000万円のマンション(住宅ローンあり)」として、試算してみましょう。

【計算例】

  • 仲介手数料:2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 726,000円
  • 収入印紙代:10,000円
  • ローン抵当権抹消費用:22,000円
  • ハウスクリーニング費用:50,000円
  • 引っ越し費用:100,000円

  —

 合計:908,000円

家を売ると課税される税金

家を売ったときの譲渡所得に対する税金は、分離課税といって、給与所得などのほかの所得とは区分して計算されます。

譲渡所得金額の算式

課税対象となる譲渡所得金額の算式は、以下のとおりです。

譲渡所得の計算
出典:不動産ジャパンより作成

(注1)譲渡価額とは、土地や建物の売却代金などをいいます。

(注2)取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額をいいます。

なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)とすることができます。

(注3)譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。

出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」

【譲渡所得金額の計算例】

  • 売却代金(譲渡価額):2,000万円
  • 取得費:1,800万円
  • 譲渡費用:90万円

 —

 譲渡所得金額:2,000万円 – (1,800万円 + 90万円) =  110万円

上記のとおり、売却代金ではなく、経費を差し引いて利益がある場合(儲けが出た場合)に課税される仕組みです。

譲渡所得税の税率

譲渡所得金額に対して、以下の税率の譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。

【譲渡所得税の税率】

区分所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

注1:マイホームを売ったときには、税率を軽減する特例があります。

注2:確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。

出典:令和6年度版 暮らしの税情報 p.33

上記のとおり、「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」かによって、税率が異なります。

それぞれの区分は以下のとおりです。

長期譲渡所得土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える
短期譲渡所得土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年以下
参考:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」

「5年」を区切りとして税率が大きく変わるため、どのタイミングで家を売るか検討する際に、注意が必要となります。

家を売ったときの特例・控除

譲渡所得金額が黒字(プラス)となった場合でも、特別控除を利用して節税対策をすると、納税が減額(または不要)となるケースがあります。

不動産 特別控除

たとえば、マイホームで要件を満たすと「3,000万円の特別控除の特例」が適用となるため、3,000万円までの利益を圧縮できます。

【例:3,000万円の特別控除の特例】

3,000万円特別控除の特例
出典:令和6年度版 暮らしの税情報 p.34

不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談しながら、確定申告の準備を進めましょう。

最寄りの相談窓口は、税についての相談窓口(国税庁)にて確認できます。

家を売るときにかかる費用税金には細かい要素が絡んでいるので、売却前に必ず確認しておきましょう。

家を売るときに見落としやすい注意点

最後に、家を売るときなど、不動産を売却する際の注意点について、お伝えします。

所有期間や住宅ローンの残債など諸条件を整理する

家を売却する際に、所有期間や住宅ローンの残債といった条件を整理することは、成功する売却のカギになります。

物件の状態や売却の最適なタイミング、売却方法はケースごとに異なるため、全体を把握した上で計画的に進めることが重要です。

物件チェックは、本記事の前半でご紹介した「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」を活用しながら、整理を進めてください。

同時に、住宅ローンを借り入れている金融機関、所轄の税務署、不動産会社の担当者など、分野別の専門家に相談しながら、多角的な視点で情報収集を進めましょう。

仲介手数料などの出費の時期を把握する

仲介手数料など出費の時期

2つめは「仲介手数料などの出費の時期を把握する」です。

「家を売るのにもお金がかかる」というのは、当事者になってみて初めて痛感するポイントかもしれません。

売却代金が手元に入る前に準備する必要のあるお金(仲介手数料など)もあるため、あらかじめ資金を確保しておく必要があります。

家を売るだけでなく同時に購入も行う(買い替え・住み替えする)場合は、住み替えをスムーズに進めるための流れや必要な費用の計画をしっかり立てる必要があります。

悪質な業者に対して警戒する

3つめは、まれにいる、「悪質な業者に対して警戒する」です。

実際に起きているトラブルとして、以下が挙げられます。

【売却時のトラブル例】

  • 不当に安い金額で売らされた
    面識のない業者から突然に電話があり、マンションや一戸建て住宅を「買い取るので売ってほしい」と言葉巧みに勧誘され、近隣相場より著しく安い不当な金額で契約させられる。高齢者の方が狙われやすい。
  • 不当な支払い遅延
    買主業者が約束の期日に売買代金を支払わない。
  • 原野商法(※)の二次・三次被害
    過去に原野商法などで交わされた土地の所有者を狙った詐欺的行為による被害(売ってあげると言って広告費の名目でお金を支払わされた/測量費や造成費などのお金を支払わされた)

参考:不動産適正取引推進機構「不動産売買の手引」p.7

【原野商法とは?】

「原野商法」は、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などとうその説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと問題勧誘を行ったりして販売をする商法です。1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。

出典: 政府広報オンライン

被害を防ぐためには、「家を売るための具体的な手順」でご紹介したように、相場を把握したうえで、複数の不動産会社にこちらから連絡をして、査定してもらうことが重要です。

不動産会社と媒介契約を締結する際には、過去の営業実績や行政処分歴を確認しましょう。

たとえば、東京都の場合は以下の情報を閲覧できます。

【宅地建物取引業者の免許情報提供サービス 】

都庁では、都知事免許業者と都内に本店のある国土交通大臣免許業者について、下表の項目等を記載した名簿や申請書類等の閲覧ができます。また、インターネットで免許証番号、商号、代表者名、行政処分歴など名簿の一部を見ることができます。(宅建業者の免許情報提供サービス

出典:安心して既存住宅を売買するためのガイドブック

買主とのトラブル防止のための告知と確認を行う

4つめは「買主とのトラブル防止のための告知と確認を行う」です。

売買契約の内容に適合しないものを、売主が買主に引き渡した場合、大きなトラブルに発展するリスクがあります。

買主から補修などを求められたり、場合によっては、損害賠償請求や契約の解除に至るケースもあります。

売却する家について知っている欠陥・不具合がある場合には、告知書などの文書を通じて漏れなく買主に告知することを、徹底しましょう。

告知した欠陥・不具合は、売主・買主の双方が確認します。

「そのまま引き渡す/補修して引き渡す」などの条件も含めて、売買契約書の内容に盛り込み、後にトラブルへ発展する火種をなくしておきましょう。

参考:不動産適正取引推進機構「不動産売買の手引」p.7

家を売るときによくある質問

家を売るというのはとても時間のかかる作業だと思います。

そのため、家を売るときの手順や注意点、売却相場や売るタイミングなど気になることはキリがないと思います。

このように、気になることが沢山ある作業の中でもよく聞かれる質問をまとめてみました。


家を売りたいのですが、どこに相談すればよいですか?

家を売るなら〇〇がおすすめというものはありません。

それぞれの目的や条件などによって、おすすめの売却先は異なるからです。

そのため、不動産売却マイスターでは、不動産売却の一括査定を推奨しています。

一括査定であれば、ご自身の希望に沿った理想的な売却先を見つける可能性が高いため、家を初めて売る方におすすめです。

不動産一括サイトに関しては、ご自身の目的にマッチするサイトを選び、必要な情報を入力するだけなので、とても簡単な作業です。

不動産一括査定サイト16社を徹底比較してみたので、家を売るのにどこがいいのか悩んでいる方はぜひ活用してみてください。

古い家を売ることもできる?

古い家を売ることは可能です。

古い家であっても、土地の立地や広さなどの条件が良ければ、家を売る際に高値がつく可能性があります。なぜなら、「家を売る」イコール基本的に「土地を含めた売却」になるため、古い建物の評価が低くても、土地の価値で相場より高い売却価格が望めるケースがあるからです。

日本では、戸建てを売る場合には建物と土地をセットで所有していることが一般的です。

築年数が古く建物の評価額が低くなりがちな物件でも、駅から近い、商業施設や学校が整っているなど、周辺環境が良いエリアの場合は、土地目当てで購入を検討する買主が一定数存在します。特に、買主が建物を取り壊して新築を建てることを前提にしている場合、土地の魅力次第で売却価格が大きく変わってくるのです。

たとえば都心の駅徒歩圏内や人気の学区エリアなどでは、築古の家でも土地の需要が高いため、高値で取引されるケースが少なくありません。

実際に「建物は古いから値段がつかないはず」と思っていたが、土地の立地が評価され、相場より高値で売却できたという成功例もあります。また、再開発が見込まれるエリアでは、将来的な資産価値の上昇を期待する買主が現れ、思わぬ高い価格を提示されることもあるでしょう。

以上のように、古い家でも土地の価値によっては十分に高値で売却できるチャンスがあります。

家を売る際には、建物の状態だけでなく、周辺環境や将来性を含めた「土地」の魅力を正しくアピールすることが重要です。複数の不動産会社に査定を依頼して比較検討することで、より有利な条件で売却を進めるきっかけにもなります。

相続した家を売る場合はどうしたらいい?

まずは、相続した家を売る場合は、おおよそ3年以内に終わらせるということを頭に入れておきましょう。

売却するタイミング

おおよそ3年以内が良い理由としては、以下2つの特例を受けることができるからです。

【相続した家を売るベストタイミングが「相続開始日から10ヶ月経過以降~3年10ヶ月以内」の理由】
① 「相続開始日から3年10ヶ月以内に売却する」ことで、相続税の「取得費加算の特例」の対象になる可能性があるから
② 「相続から10ヶ月間売却しない」ことで、「小規模宅地等の特例」を適用できる可能性があるから

①相続税の「取得費加算の特例」について

【相続税の取得費加算の特例とは?】
以下の条件を含むすべての項目を満たすときに、家を売った代金(譲渡所得)のうち一部を、税金(譲渡所得税)の対象外にすることができる=支払う所得税が少なくなる
【相続税の取得費加算の特例を受ける主な条件】
①相続または遺贈で、財産を取得した人
②その財産を取得した人に、相続税が課税されている
③その財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡している(売るなど) など

※参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

簡潔に言うと、家を売った代金(譲渡所得)にかかる税金(譲渡所得税)の節税ができます。

②「小規模宅地等の特例」について

【「小規模宅地等の特例」とは?】
以下の条件を含むすべての項目を満たすときに、相続した宅地などの相続税課税対象額を最大で80%減額できる=支払う相続税が少なくなる
【相続税の取得費加算の特例を受けるための主な条件】
①その相続開始の直前に、被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業に使っていた、または居住するために使っていた宅地などを相続した
②被相続人の配偶者以外の場合、「相続税の申告期限まで土地を保有していること」(相続してから10ヶ月) など

※参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

こちらも簡潔に言うと、家を相続したことで発生する相続税を、一部減らすことができます。

また、相続した家を売る際、遺産分割協議や相続登記、共有名義の場合は全員の同意を得ておく必要もあります。

別の記事に相続した家を売るときの流れと注意点をまとめておきましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ローン中の家を売ることもできる?

ローン中の家を売ることは不可能ではありませんが、通常の売却よりも手続きが複雑になるため、慎重に進める必要があります。

なぜなら、ローン中の家には「抵当権(※)」というものが設定されており、この影響で家を売ることが難しくなります。

抵当権とは、住宅ローンを借りる際に金融機関が不動産に設定する担保のこと です。
ローンの返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使し、物件を競売にかけることで貸したお金を回収できます。
そのため、ローンが残っている状態では原則として自由に家を売ることができません。売却するには、売却代金や自己資金でローンを完済し、抵当権を解除する必要があります。

ただし、離婚や急な住み替えなどでローンが残っている状態でも売却を進めたい場合は、ローン中の家を売る方法や特例措置を活用することで、売却のハードルを下げることが可能です。

事前に売却の流れや必要な手続きを把握し、損をしない選択を心がけましょう。

家を高く売るにはどうすればいい?

家を高く売るには、まず現在の状況を正しく把握し、適切な対策を講じることが重要です。

  • 住んでいる家を高く売りたいのか
  • 古い家を高く売りたいのか
  • ローン中の家を高く売りたいのか

上記は一例ですが、このように現在の状況によって、高く家を売る方法は異なります。

状況に応じた売却戦略を知り、家を高く売る方法や成功のコツを押さえておくことで、より有利な条件での売却が可能になります。

家を売るならいつがベスト?

家を売るタイミングは、一般的には1月~3月は売却のベストシーズンとされ、買い手が多く市場が活発になります。また、築年数が10~15年以内の物件は価格が落ちにくく、高く売れやすい傾向があります。

しかし、市場の動向や季節の需要、築年数によって売却価格が大きく変わるため、慎重に判断することが重要です。

家を売るタイミングの判断基準を知っておくと、売却の最適なタイミングを見極める手助けになります。 自分の家が今売り時かどうか、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

本記事では「家を売る」をテーマに解説しました。

要点をまとめておきましょう。

家を売るための基本的な流れを8つのステップに分けてご紹介しました。

家を売る際にかかる費用・税金として、以下が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 印紙代
  • 住宅ローン一括返済手数料
  • 住宅ローンの抵当権抹消登記
  • ハウスクリーニング費用
  • 引っ越し費用
  • 譲渡所得税(所得税・住民税)
  • その他

家を売るときには、以下にご注意ください。

さっそく、現状把握や査定依頼から進めていきましょう。

不動産売却を検討の際には最低3社の一括査定を利用することがおすすめ

査定額をより正確に出したい場合は、不動産会社1社のみではなく、少なくとも2〜3社まとめて査定を依頼するようにしましょう。

1社だけの査定額だと、相場よりも低い価格で売却して、損をしてしまうかもしれません。

2~3社に依頼すれば、数字を照らし合わせていくらが相場なのかチェックができ、売り出し価格を決める際の参考になります。

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著者

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